「朝ごはん”で地域の子どもを支えたい!」チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒントVol.20

表西さん

表西 弘子さん(西淡路小学校 朝ごはんやさん 代表)

朝ごはんですよ〜!から始まる一日

大阪市東淀川区にある西淡路小学校の朝6時。60〜80歳代の4人の女性が仕込みに大忙し!7時30分になると「おはようございま〜す!」とランドセルを背負った子どもたちが続々とやってきて“朝ごはんタイム”が始まります。多い日にはなんと70人もの子どもたちで家庭科室はいっぱいに。

表西(おもにし)さんは、平成28年の11月から週3日、子どもたちに“朝ごはん”を提供する地域活動、“朝ごはんやさん”の代表を務めています。約50年前からこの地域に住んで以来、2人の子どもを育てながら数々の地域活動に参画。現在は、地域活動協議会や社会福祉協議会、連合町会の会長を一手に引き受けて毎日地域内を駆け回る日々を過ごしています。

“朝ごはんやさん”の原点は朝食を食べない小学生が11.8%もいると知ったことでした(平成26年度文部科学省調査、小学6年生の割合)。毎日朝食を食べている子どもほど体力も学力も優れている(平成27年度同調査)という結果もあり、朝ごはんが子どもの育ちや学びに大きな意味を持っていることを知ったそうです。

 

地域の取組としての“朝ごはんやさん”をスタート

教室での朝ごはん
どんな状況の子どもでも、朝ごはんをしっかり食べさせて学校へ送り出してやりたい。そう思った表西さんは平成28年に「地域活動協議会活動費補助金」の活用を考え企画を練りますが、開催場所の確保には苦労がありました。最初、地域内の廃校になった小学校を使う案を思いついたのですが、通っている所と別の学校へ、朝の忙しい時間に子どもたちが朝ごはんを食べに行けるのか?と疑問を持ち断念。学校の校門前でのケータリング形式など様々な方法を考え、思い悩む日々を過ごしていました。

そんな時、西淡路小学校の校長先生から「うちの小学校の家庭科室を使ったらどうでしょう」というありがたい提案が舞い込みます。子どもが登校する同じ場所で“朝ごはんやさん”ができたなら、子どもたちも断然来やすい。家庭科室なら必要な設備も整っている。一般的には学校施設を地域活動に使うには難しい点も多く、実現するのはなかなか難しいのですが、これまで長年地域活動に尽くしてこられた表西さんだからこその“ミラクル”を引き寄せることができたのかもしれません。

 

見えづらい社会の問題を地域で解決したい

朝ごはん
子どもたちは1食50円の利用料を払い、主食、副食、デザート、飲み物まで揃った朝ごはんを食べて学校へ向かいます。クラスや学年の違う子たちが楽しそうに食事する様子を見ていると、この“朝ごはんやさん”が子どもたちの“コミュニティ”として根付き始めていることを感じるそうです。

早起きして朝ごはんをしっかり食べて、学校で元気に学び、友達と遊ぶ。当たり前の毎日だと思われがちですが、経済的、心理的な問題を抱える子どもたちも、現実に存在します。忙しくて十分な朝ごはんを作れない家庭もある。子どもの貧困や孤食の問題は、親を責めても朝ごはんを食べられない子どもが減るわけではない。ならば地域で朝ごはんを食べさせて成長を支えよう。表西さんの熱い思いがここにはあります。

朝ごはんやさんは、今年5月には利用者のべ1万人を超えました。「え?もう1万人超えてたの?」と驚く表西さん。どうやら1万食の朝ごはんを作ってこられた表西さんにとってそれはまだ通過点のようです。

子どもたちが将来大人になった時、「『子どもの時に“朝ごはんやさん”っていうのがあったなぁ。懐かしいなぁ。』と思ってくれたらそれが一番うれしい」と言う表西さん。表西さんの活動へのパワーはまだまだ衰えることはなさそうです。

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