男性の家事負担率なぜ低い?データでひも解く大阪の事情

部屋の掃除をする男女

突出して低い大阪の共働き家庭の夫の家事負担率

総務省統計局から、平成28年社会生活基本調査の結果が発表されました。社会生活基本調査は、生活時間の配分や余暇時間における主な活動状況などを調査し、その結果は、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進、男女共同参画社会の形成、少子化・高齢社会対策等の各種行政施策の基礎資料として利用されており、5年ごとに実施されています。

男性の育児・家事負担率について、本調査結果を活用し算出したのが次のグラフとなります。

 
夫の家事・育児負担率

 
大阪府、長崎県が突出して夫の家事の時間が少ないことがわかります(横軸)。このデータは共働き夫婦に限って算出していますので、夫も妻も働いている子あり世帯であるにもかかわらず、地域によって育児や家事の分担率に差があるというということになります。この結果から、「大阪の男性は家事をしない」と結論付けるのは簡単ですが、本当にそれだけでしょうか?関係のあるいくつかの調査結果とあわせて考えてみたいと思います。

 

働く妻のうち、正社員はどれくらいいるのか?

全国的に見れば、共働き世帯が増え、子育て中であっても働く女性は増えてきています。しかし実は、大阪における共働き世帯の割合は全国で45位、39.8%(※)と非常に低い状況です。また、一口に「共働き世帯」といっても、男女ともに正社員であるかどうかはまた別の問題で、男性が正規雇用、女性が非正規雇用の夫婦というのも少なくありません。特に大阪においては、非正規雇用に占める女性の割合が58.8%(全国平均57.5%)(※)と平均と比べて多いことが指摘されています。

大阪の共働き夫婦の夫の家事負担率が低いという課題の背景には、単純に「男性があまり家事をしない」ということではなく、共働き世帯の妻が非正規雇用である割合が高く、家事の時間が作りやすいという事情も関係がありそうです。

また、同じ調査では、男性の長時間労働が多い地域では、女性の有業率が下がる傾向があることも指摘されています。大阪も、長時間労働が多い地域の一つとなっています。女性が正規職員の仕事に対して「長時間労働で大変そう」というイメージを持つことにより、特に結婚後は非正規雇用の仕事を選んでいるという側面もあるのかもしれません。

 
都道府県共働き世帯の割合

 

イクメンは増えるもカジダン増えず?

一方、男性側の意識はどうでしょうか?平成23年度と平成28年度の社会生活基本調査の結果を比較して見ていきたいと思います。次の2つのグラフは、いずれも6歳以下の子供がいる家庭(共働きかどうかは問わず)における、男性の家事・育児負担率を見たものです。大阪については、平成23年では家事、育児の負担割合はそれぞれ4.5%、12.2%でした。ところが、平成28年では家事については5.1%と相変わらず低いものの、育児については21.8%と大幅に改善しています。このことから、5年前に比べて、育児に関しては積極的に関わりを持つ男性が増えたと言えます。

 
平成23年度 夫の家事・育児負担率

 
平成28年度 夫の家事・育児負担率

 

「男は外で働き、女は家を守る」という考え方について

みなさんは、「男は外で働き、女は家を守る」という考え方について、どう思いますか?

平成24年に実施された調査では、大阪は、「そう思う」と答えた人の合計が45.4%と全国平均よりも高めの結果となっています。この数値は、高ければ高いほど女性の有業率が低くなるという傾向があることがわかっており、大阪も女性の有業率が低い地域の一つとなっています。

普段生活する中で意識することはあまりないかもしれませんが、「こうあるべき」「この方が普通」といった性別役割分担意識は、自分の意図しないところで知らず知らずのうちに地域や周りの影響を受けているということもあるかもしれません。

 
「男は外で働き、女は家を守る」という考え方

 

個人と企業、どちらかだけのせいにできる問題ではありません

このような中、大阪では、男性の家事育児に関する負担率が上がっているというのは注目すべき点ではないでしょうか。

男性の意識向上によって、更に家庭における男性の家事育児負担率を向上することはもちろんですが、職場においても、「男は仕事、女は家庭」「女性は補助的立場」という思い込みをリセットすることや、長時間労働の削減をはじめ、ワーク・ライフ・バランスを保った働き方ができるような環境改善等、男女ともに働き続けることができる環境を整えていくことが重要です。

それぞれの立場で取るべき行動は異なると思いますが、自分の意識が「変わる」ことが、社会が「変わる」ことにつながるのではないでしょうか。

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