児童遊園の活用をみんなで考えたい 
【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.50】

土井 早織さん

(言語聴覚士)

活動のきっかけは区の広報紙

土井さんは子育てをしている中で、住んでいる地域とのつながりが薄いことを不安に感じていました。しかし、夫が区政委員になったことをきっかけに、自分も地域活動に関わっていきたいと思うようになりました。

土井さんが児童遊園(※1)に興味を持ったのは、区の広報紙がきっかけでした。大正区広報紙の地域だより欄を読んでいると、児童遊園を守るための募金活動についての記事が掲載されていました。その児童遊園は子どもたちにとって安全に遊べる広場がないことを憂いた地域の方が、空き地を整備して近隣住民に開放してくださったのが始まりです。しかし、時がたつにつれ、遊具などの安全性の維持が難しい現状から、児童遊園の維持存続のために周辺町会から有志を募り、改修にむけた運営委員会が始まったこと、都市公園の維持管理は自治体が行っているのですが、児童遊園の維持管理は住民にゆだねられていることが書かれていました。この事実を初めて知り、とても驚かれたそうです。

児童遊園の活用をみんなで考えたい

土井さんが住む地域にある児童遊園では、清掃や季節の草花の手入れなどは、近隣の方々の「子どもたちのために」という思いで行われています。ちびっこ広場やアンパンマンの絵があることから、アンパンマン公園とも呼ばれて、地元で50年以上愛され続けてきました。

月一回の定期清掃には地域の枠を超えていろいろな世代の方が参加されていて、和気あいあいと作業がされています。遊んでいる子どもたちもゴミ拾いを手伝ってくれます。児童遊園の運営には、毎日のカギの開け閉めや安全管理の問題といった課題も多くありますが、このような実態は地域住民の方にもおそらく知られていません。土井さんは児童遊園を通して、いろいろな人と話し、イベント企画など活用方法について考えることで、もっともっと児童遊園をわくわくする場にしていきたいと考えています。子どもと一緒に楽しんで活動することで、まちと子育て層がつながる場にもなります。まずは活用の可能性をみんなと探っていきたいと土井さんは取り組んでいます。

 

楽しみながら広げる活動の輪

土井さんは、児童遊園の利活用について考える場をつくるために、さまざまな機会を利用しています。例えば、現役で働く世代を対象に地域活動の立ち上げや運営を学ぶ講座と、プランを具体化して実践するプログラムに参加して、プロボノ(※2)を受けることができるようにもなりました。このプログラムで専門家と一緒に協働しながら、期間と成果を決めて取り組むことにより、自分の気持ちや活動の目的もよりはっきりさせることができたといいます。また、地域に開かれている交流の場に参加し、児童遊園のことを紹介することで意見やアイデアをもらいました。そこでも地域での交友関係が広がったそうです。

土井さんがつながりを作りたいと願うのは、自身も子育て中のママ同士のゆるやかなつながりに癒されたという経験があるからです。現在では、大正区を中心とした子育て情報を共有できるオープンチャットも運営しています。

この春から、土井さんは児童遊園運営委員会の副会長を引き受けることにしました。現会長とともに、未来を見据えながら、地域での生活をより豊かにする拠点として、児童遊園の利活用を進めようとしています。「児童遊園の管理の仕事を見えるようにして、子どもたちにも知ってもらいたい、落ち葉でたい肥づくりをしてちょっとした農業体験ができるようにしたい、児童遊園を使った活動の想像がふくらんでいます。」誰よりわくわくした表情で語ってくれる土井さん。今後さらにみんなにわくわくを届けてくれることでしょう。

(※1)児童遊園…使われていない土地や民間の方が所有している土地に設置された児童の遊び場。自治体が管理する都市公園とは違い、児童福祉を目的に地域住民と自治体とが協力して管理運営する公園

(※2)プロボノ…社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや経験を無償で提供する活動

 

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