新井 光淑 さん
(小中一貫校大池学園 大阪市立大池中学校 学校協議会会長)
生野区を見守り続けて
新井光淑さんは、生野区でPTA活動を軸に20年以上地域での社会教育活動に取り組んでいます。小学校から中学校、高校、大学とPTAに参画し、現在は学校協議会会長、生野区PTA協議会顧問も務めています。また、PTA活動をきっかけに、区政会議や大池中学校の学校元気アップ地域コーディネーターにも参画するなど、地域に根差した役割を広く担っています。
地域で幅広く活動する新井さんですが、その中でも毎朝通学路に立って地域の人たちに挨拶や見守りを行う「朝の見守り活動」が、特に力を入れている「推し」活動で、始めて9年目になるそうです。生野区で明るく真面目に活動を続ける新井さんから、地域で活動する中でのやりがいや醍醐味、そしてこれからの目標についてお話をうかがいました。
地域と人をつなぐ
長年朝の通学路での見守り活動を続けている新井さんですが、子どもだけでなく、地域のみなさんと出会い、交流できることが楽しみであり、やりがいでもあるとのこと。毎朝、新井さんとあいさつするのが楽しみで、わざわざ遠回りして顔を見せてくれる子、中学校にはあまり通えなかったけれど、卒業してから新しい制服を見せに来てくれる子など、新井さんが毎朝見守りをしていたことで出会えた子どもたちの成長の喜びが、活動を続ける活力になっています。

【見守り活動で受け取った児童からの手紙】
また、新井さんは、朝の見守りやPTAをはじめとした活動に真面目に取り組む姿勢が周囲から評価され、現在は町会長としても活動をしています。会長を引き受けたことで以前より視野が広くなり、色々な立場の人の思いや活動が見えてきました。
住民一人ひとりの思いに丁寧に耳を傾け、トップダウン型ではなくみんなで活動に取り組むことで、風通しの良い組織、まちづくりをめざしています。何かあったときに助けを求めてもらえるような人でありたいという思いから、新井さんは誰とでも真摯に向き合い、様々な角度から地域と人をつなぐ、いわば地域を支える軸のような役割を果たしています。
そんな新井さんの活動のテーマは「人のかゆいところに手が届く」。例えば、子育てで忙しくがん検診に行けていないというお母さんの声を聞き、親子が参加するイベントの中で、乳がんのセルフチェック方法を学ぶ知識啓発を併せて実施できるよう、現在企画しているそうです。このように地域の人の要望に応えて奔走する姿勢が、まさに「人のかゆいところに手が届く」活動につながっていると言えるのではないでしょうか。
生野区への思い、これから
見守り活動、PTA活動、町会活動のどれでも新井さんが一番大切にしていることは、日頃のコミュニケーションです。災害時などの有事の際に本当に必要になるものはコミュニケーションだという思いから、地域、子どもたちと繋がり、毎日コツコツと信頼関係を築いています。また、型にとらわれずに活動することも大切にしています。地域での活動に若い世代の参画が少ない現状の中で、今までの活動を見直していき、良いところを残しながらもどのように時代に合わせて変化させていくのかを課題とし、周囲の人たちと協力を進めていきたいと考えています。
これからの地域のためにも、ますます歩みを進める新井さん。地域での活動をすすめるうえで、「不易流行(※1)」の精神を大切にしていると教えてくださいました。20年以上のPTA活動 で培った力を活かしながら、地域と人の「和」・「輪」を広げ、個性豊かな人たちが集まる地域を支える一つの軸となってこれからも活動していかれることでしょう。
(※1)不易流行…いつまでも変わらない本質的なものを大事にしつつ、新しい変化も取り入れること