「ダブルケア」支援の輪を広げて社会を変えたい!【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.35 】

宮内 葉子(みやうち ようこ) さん
(任意団体「君彩~kimidori~」代表)

知ってほしい「ダブルケア」のこと

「ダブルケア」とは、育児と介護を同時に担うこと。全国には25万人の当事者(6歳未満児の育児と介護を担う方の数)がいるといわれていますが、まだまだその認知度は低く、必要な支援も届いているとは言えません。

2020年9月、宮内葉子さんは大阪を活動拠点に「ダブルケア」の認知度向上や当事者に寄り添う活動を行う任意団体「君彩~kimidori~」を立ち上げました。
コロナ禍でのスタートでしたが、オンラインで月2回「介護おしゃべりカフェ」を開催したところ、深刻な悩みをお話しされる方も参加され、介護のことを安心して話せる場所がどれだけ求められているかを実感したそうです。

そして、2022年2月の「第1回ダブルケア月間」。全国のダブルケア支援者たちが様々なイベントを行い、宮内さんたちもクレオ大阪中央をはじめ、府内数か所でパネル展「知ってほしい、ダブルケアのこと」を開催しました。このパネル展は、在阪の新聞社に取材され、夕刊の一面に大きく掲載されました。またテレビの報道番組でも取り上げられ、「ダブルケア」を知ってほしいという宮内さんの思いが届いた出来事の一つとなりました。

「つらい気持ちを叫べる場所を絶対作るから!」

活動を始めたきっかけは、12年前に宮内さん自身がダブルケアの当事者となったこと。次女を妊娠中に母親が要介護となり、大きなおなかでの付添いや各種手続き、母親は宮内さんが出産して間もなく亡くなってしまいましたが、悲しむ間もなく、今度は父親の介護が必要な状況になります。

小さな子どもを抱えての介護は想像以上に厳しく、周りにもなかなか相談できずに孤独を感じていたそうです。情報を求めてTwitterを始めたことがきっかけで、「ダブルケア」という言葉を知りました。

匿名で話せるSNSの特徴もあり、本音を話したり、情報交換したりすることで、心が軽くなったそうです。そんな中で支援している方たちのことも知り、同じダブルケアの立場でTwitterにつらい気持ちを投稿する友人に「私が、そんな気持ちを叫べる場所を絶対作るから!」と約束しました。それが活動を始める決心をした瞬間でした。

それがきっかけとなり、「介護おしゃべりカフェ」を開催。1年以上継続されています。「初めて参加する方も多く、最初は緊張されていても最後は笑顔になったり、参加してよかったと言ってもらえたりすると本当に嬉しいです」と宮内さんはおっしゃいます。また同時に、活動を広げるために社会福祉協議会に相談に行ったり、関連講座にも参加したりして情報や仲間を集めたそうです。

「ダブルケア」を知ってもらうことで、社会を変えていきたい

「介護」にはまだまだ重い話題のイメージもあり、ダブルケアのことを気軽に話すのも難しい。行政機関に「子育て」や「介護」の窓口はあるけど「ダブルケア」に対応した窓口があるのは全国でも僅か。けれど晩婚・晩産化や少子高齢化の中で、これからダブルケアに直面する人は増えていきます。

宮内さんは、「今」ダブルケアでしんどい人たちの状況を知ってもらうだけではなく、社会全体がダブルケアのことを受け入れ、支援制度が整い、ダブルケアのことを当たり前に口に出せる「未来」を作っていきたい、と力強く語ります。

まず今年は、周知啓発活動に徹底し、来年度は、助成金を獲得してダブルケアの情報ハンドブックを作ることが目標だそうです。また、2022年3月には、女性チャレンジ応援拠点のミニサロンで初めて対面での「育児と介護のダブルケアカフェ」を開催します。

これから何かにチャレンジしたい人へのメッセージをうかがうと、「一人でも、強い気持ちと行動力があれば絶対できる!」とエールをいただきました。自身の経験から生まれた強い思いから、行動して仲間や情報を集め、活動を切り開いてきた宮内さんならではのメッセージだと感じました。

「君彩~kimidori~」
HP https://kimidori-wcare.com/
Twitter @kimidori_youko

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