池田 有美(いけだ ゆみ)さん
(一般社団法人「コトモット」代表)
子どもと過ごす「今」を大切にできる居場所
大阪市城東区の子育て支援施設「関目つどいの広場うたたね」は、令和3年10月にオープンしました。古民家を改装し、手作りの装飾で飾りつけられた空間は、おばあちゃんの家に遊びに行ったような、どこかホッとできる懐かしい雰囲気。
2階に上がると、そこには枕やクッションなどがある落ち着いたスペースも。夜泣きや夜間授乳で寝不足の方に利用してもらえたらと、うたた寝部屋にしています。「うたたね」という名前は、「う」動く、「た」楽しむ、「た」食べる、「ね」寝る。この4つを大切に、ゆったりと子育てを楽しむ場所にしたいという想いをこめてつけられました。絵本の貸し出しや、子育て講座、ヨガや料理教室なども開催され、憩いの場として利用されています。
うたたねを運営する、一般社団法人「コトモット」代表の池田有美さんは、体育大学を卒業後、これまでに移動動物園や保育園、体操教室で勤務していました。そこで、発達障がいの子や運動が難しい子への指導が画一的である現状に疑問を抱くようになります。
自身の子育ての経験も重ね、「運動ができないのではなく、自分の身体を知っていないだけ」、「知識や情報でなく子どもと向き合う事が大事」であると気づきます。
そして、平成26年、子どもの事をもっと知ってほしいという思いから、「コトモット」と名付け、出張ヨガ教室を立ち上げます。また、平成27年には城東区子どもの発達が気になる親の会「にじいろ」の代表となり、悩みを一人で抱えず、地域のつながりの中で子育てを楽しめるように、定期的におはなし会や勉強会を開催しています。令和3年にはコトモットを法人化、その後「うたたね」をオープンします。
出張講師業から居場所づくりへ
活動の中で、日常的に支援できる場所を持ちたいと思っていた反面、当初は、拠点を持つことに不安も感じていました。
「これまでの出張ヨガの仕事は続けられる?」「そんなことできる?」そうした葛藤の中、尊敬する恩師からの「ゆみちゃんがやるなら手伝うよ!」という一言に背中を押され、大阪市のつどいのひろば事業へチャレンジする一歩を踏み出します。
準備を進める中で、自然と仲間も増え、周りからは「いつかやると思っていたよ!」「おめでとう!」と言った声も少なくなく、次第に不安もなくなったといいます。拠点を持ったことで、関わるスタッフが増え、人を頼れるようになり、できることも広がりました。信頼のおけるスタッフに運営を任せ、これからは空いた時間を使い出張ヨガの活動も増やしていきたいそうです。
変わらぬ想いとともに、広がる活動
コトモットの活動は、親子のつながりだけでなく、地域・社会のつながりも大事にされています。活動の場所は保育園や学校、公共施設や地域のイベントなど様々。現在は親子ヨガだけでなく、子育て講座や研修会の依頼も増えています。
『全ての子どもが「自分らしく」「健康的に」「笑顔で」暮らせる社会をめざして、親子から幸せを作ること』。コトモット立ち上げから変わらぬこの想いを大事に、活動を続けておられます。
今後はより多くの方と交流を図り、地域との関わりを増やして活動の幅を広げていきたいという池田さん。そのためにも、同じ理念で活動をしてもらえるスタッフを育て、実践的な仕事を任せられたら、その余白を使って、自身の活動をもっと多くの人に届けていけるのではと考えているそうです。
これから何かにチャレンジしたい人に向けてメッセージをお聞きすると、「やりたいことが今できなくても、もがくことなく、やりたいと思う気持ちを育てていれば、いつかタイミングがやってきますよ!そのためにも日々準備とアンテナをはっておくことが大事ですね。」とおっしゃいました。
現在、大学で心理学の勉強をされている池田さん。これまで興味のあった親子関係と人間形成についてもっと深掘りしていきたいそう。池田さんの活動の広がりが今後も楽しみです。
一般社団法人 コトモット
https://www.cotomotto.com/