障がい児者と家族が過ごしやすい地域のために【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.52】

永松なつめさん

永松 なつめ さん
(NPO法人輪母ネットワーク 代表)

障がい児者と家族と地域がつながる場所

永松なつめさんは、障がい児者と家族、支援者、地域をつなぐピアコミュニティ(※1)「NPO法人輪母(わはは)ネットワーク」の代表を務めています。

コミュニティへの参加のきっかけは、子どもの1歳半検診で発達の遅れを指摘されたことでした。永松さんはもともと人見知りで地域との関わりもなかったため、相談できる人も場所もありませんでした。

しかし、子育てのためには地域の情報が必要と考え、不安を抱えながら区役所に相談したところ、輪母ネットワークを紹介され、参加することにしました。子どもの障がいのことや悩みを話せる場があることが嬉しく、参加から1年ほどで会の役員になりました。

法人化への取組み

輪母ネットワークは、障がいのある子どもを持つ母親たちのコミュニティとして、「障がい児を地域で育てる」ことをめざしてスタートしました。
活動の一環として、永松さんが役員となった2017年に、障がい児者とその家族のための防災ワークブックを発行しました。このワークブックをもとに講演を実施し、災害時の困難の軽減と、誰一人取り残さない防災の実現をめざしています。

ワークブックの発行と講演の実施で活動を広く認知されるようになりましたが、コロナ禍の影響で、これまで通りに集まることもできず、思うように活動を進められなくなってしまいます。そこで2021年に助成金を獲得し、生野区の空き家を活用し、活動拠点である「わははハウス」を立ち上げました。様々な人が出会いつながる地域の拠点にしたい、という想いのもと「わははハウス」は運営されています。

この頃に「障がい児者と家族と支援者と地域をつなぐコミュニティ」という団体のコンセプトが固まり、本格的に法人化の準備を進め、2022年に輪母ネットワークは法人格を取得しました。

永松さんが代表となったのは2023年。現在では母親だけでなく、家族や当事者、支援者など、様々な立場の人が会員として参加しています。障がいのある大人と子どもとその家族が、地域で子育てしやすく過ごしやすい環境になることを願い、日々活動を続けています。あくまで、輪母ネットワークはピアコミュニティであり、支援者・被支援者の関係はありません。しかし、困った時は助け合うことのできる温かい関係が築かれています。
永松なつめさん

 

やりたいことを楽しくやる!

永松さんは輪母ネットワークでの活動とあわせて、地域活動にも積極的に参加しています。
永松なつめさん
もともとは、子どもを育てる上で近所に知り合いが欲しい、地域の情報が欲しいという理由で活動を始めました。地域活動が何か分からない中でのスタートでしたが、「やりたいことを楽しくやろう」という永松さんの気持ちを理解し、応援してくれる先輩女性と出会い、強く励まされたと言います。今では、子どもの居場所プログラム「生野会館開放するデー!」の実施や、高齢者向けスマートフォン講座などにも取り組まれています。

永松さんは、輪母ネットワークと地域との両輪で活動することにより、障がい児者と家族と地域をつなぐ架け橋になっています。

永松さんが活動する上で大切にしていることは、「やりたいことをやろう」という気持ちです。一緒に活動する仲間であっても、みんなが同じ方向を向いて同じ歩幅で進んでいるわけではありません。それぞれがやりたいこと、めざすことを共有し、得意な分野で助け合い補い合うことができる関係を築いています。

想いを伝え、街に出よう

輪母ネットワークでの活動と地域活動に全力で取り組まれている永松さんですが、できないことは無理をせず「できない」とはっきり伝えているそうです。一方で、やりたいことは諦めません。「やりたい!」と言って歩くことにより、協力をしてくれる人に出会えたとのこと。想いを発信する大切さが伝わります。もちろん、これまでに失敗もあったそうですが、協力してくれる人を大切にすることを心がけ、乗り越えながら活動を継続されています。

最後に、これから活動を始めたい女性へのエールをお願いしました。
「あなたが何かしたいのであれば、街に出て人に会いましょう。私もどこかであなたに会える日を楽しみにしています。」

人とのつながりを大切に、仲間と助け合いながら歩みを進める永松さんに、まずはやってみるという勇気をもらえるインタビューとなりました。

(※1)ピアコミュニティ:共通項を持つ仲間同士が支え合うコミュニティ

NPO法人 輪母ネットワーク

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