育児休暇を望む男子学生が増加中!
あなたが新入社員を採用する企業の面接官だったとします。面接に来た女子学生から「結婚後出産したら、育児休暇を取得したい」という考えを聞いたら、どう思いますか?結婚後も働くことを希望する女性が半数以上である今、「もちろんその前提で働いてもらうことを考えている」と、回答する方も多いことでしょう。
それでは、男子学生から同じような考えを聞いた場合はどうでしょうか。「結婚後、相手が出産したら、育児休暇を取得したい」という考えを聞いて「必要あるのか」「なぜ今からそんなことを考えなければならないのか」など、もしかすると、いろいろな感情が湧いてくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学生の意識調査によると(※)、男女ともに「個人的な活動、家族、仕事のバランスをうまくとりたい」が最高得点となっており、学生の中でもこれらの考え方が定着しつつあるのではないかと思えるほどになってきています。
(※出典:「2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査 2017年3月1日状況」株式会社アイデム 人と仕事研究所)
株式会社アイデムが行った同じ調査では、男子学生に対して「育児休業」「時短勤務」「残業の免除」をそれぞれ利用したいと思う割合の調査を実施していますが、その割合は58.5%、60%、58.1%となっています。
(※出典:「2018年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査 2017年6月1日状況」株式会社アイデム 人と仕事研究所)
女性だけがライフプランについて考えなければならないのか
人生には、結婚・出産・育児・介護など様々なライフステージがあります。就職する際に、「働きやすさ」「産休・育休制度の有無」「時短制度等の有無」など、将来のことも含めて考えなければならないのは、女性だけはありません。もちろん、専業主婦(夫)を選択する人もいるでしょうし、結婚しない選択をする人もいるでしょう。
一方で、今は、共働き世帯が専業主婦(夫)世帯を大きく上回って久しい状況です。共働き世帯が増えている状況もふまえ、男性も将来、自身のライフプランや配偶者の働き方についても考えていく必要があります。
下記のグラフより、専業主婦世帯の数が共働き世帯を下回ったのが平成9年頃となりますが、平成20年以降を見ればその差はどんどん拡大し、ここ7,8年で急激に変わってきています。
就職活動においては、「自己分析」「インターンシップ」「業界研究」「企業研究」は必須であるとされてきました。そのような中、「働き方改革」が叫ばれるようになり、社会情勢も相まって学生の考え方にも少しずつ変化がみられるようになってきています。
企業側の意識も、より「働きやすい」環境へと整えるためには何をすべきか、という視点で、様々な改善がなされてきているように思います。
大阪市の女性活躍リーディングカンパニー認証企業は、「意欲のある女性が活躍し続けられる組織づくり」「仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)支援」「男性の育児や仕事、地域活動への参画支援」について積極的に推進する企業等を市が一定の基準に則り認証しています。企業探しの際には、参考にして下さい。
(※男女共同参画白書(概要版) 平成28年版)
知らぬ間に影響されている「思い込み」に気づこう
大阪市の「次代を担う若者のライフデザイン支援事業」は、これから就職を考える学生に対して、多様な働き方や仕事と家庭を両立させることなど、自らのライフデザインについて考える機会を提供しています。女子学生だけでなく、男子学生に対しても同様に行っており、それは男子学生の考え方が男女双方の将来の働き方に大きく影響するためです。
平成30年1月15日には、四天王寺大学経営学部の実学マネジメント授業内で、女性活躍推進に取り組む大阪市女性活躍リーディングカンパニー認証企業の小太郎漢方製薬株式会社、株式会社ナリス化粧品、株式会社ザイマックス関西、株式会社スリーエム、株式会社ロードカーの5社と、学生との座談会形式の交流会が行われました。この交流会の前段で、講師であるワーク&ライフキャリアコンサルタントの戎さんから以下のようなクイズが出されました。みなさんもぜひ、考えてみてください。
「父と息子が道を歩いていました。二人は交通事故にあい、父親は即死、息子は大けがをしました。大けがをした息子を、救急車で大病院に運んでいくと、そこに有能な外科医が出てきてこう言いました。「息子!これは私の息子!」さて、この外科医と息子の関係は?」
さて、いかがでしょうか?
すぐに母親が思い浮かんだ方はどれくらいいたでしょうか?このクイズのポイントは、「有能な外科医=男性」と知らぬ間に思ってしまっている「思い込み」があるかどうかです。知らず知らずのうちに、「男はこう」「女はこう」という決めつけに、様々な場面で左右されていることはないでしょうか?
自分が何を大切にして働くのかを考え、選択していく
この日は、学生が企業の方と近い距離で話ができる「座談会」を開催し、様々な質問がなされていましたが、多かったのは「働き方」に関する質問や、「仕事のやりがい」に関する質問でした。
下記、一部感想を要約して掲載します。
- 「ワーク・ライフ・バランス」という話が何度か出てきたが、就活をするうえで給与よりもその点を重視したいと考えているので、今後もそういう会社を探していきたいと思う。
- 一番大切にしたいのは、「働きやすさ」です。どういったことが自分にとって「働きやすさ」なのかしっかり考えたい。
- たくさんの話を聞いている中で、最終的に選ぶのは自分自身なので、しっかり選ぶことができるようにしたいと思った。
- これからインターンシップやこういったイベントなどにたくさん参加して、様々な会社から話を聞きながら、自分の生きていく上での軸を探していきたい。
参加した学生からは、さまざまな感想をいただきましたが、やはり「働きやすさ」に興味をもつ学生が多いことが伺える内容となりました。「働きやすさ」と一口に言っても、「働きやすさ」とは一体何なのかということについては人それぞれ違います。学生のみなさんには、今後、就職活動を進めていく中で、自分が一体何を大切にして選択をしていくべきなのか、考えながら進めていっていただきたいと思います。