チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.3
“働く・食べる・育てる”を仕事につなげる生き方
深沢 周代さん(十三こども0円食堂 代表、JUSO Coworking 運営)
子育てを機に夫婦でチャレンジ開始!
阪急「十三」駅近く、築54年のレトロビル「水交ビル」が深沢さんの活動拠点。
祖父、父に続く3代目として「JUSO Coworking」と「十三こども0円食堂」を運営されています。
2010年12月、日本で3番目のコワーキングスペース*として「JUSO Coworking」をオープン。
消費者金融などのテナントが多かった時代、古いビルに新しい風を吹き込みたいという想いと、折しもフリーランスで仕事を始めた夫のために「フリーランスが打ち合わせや仕事がしやすい、交流しやすい場所が作れないだろうか?」と考えたのがきっかけでした。
十三生まれ、十三育ちの深沢さんですが、地元の友人たちの中で結婚・出産が最も早く、子育ての悩みをシェアできるママ友はゼロだったそう。
慣れない子育てに一人で向き合う中で産後うつも経験。
ある日、夫のコワーキング仲間や子育てママなど誰でも参加出来る心地よい空間として「家族ラボ」を企画。
無農薬野菜や家計の節約などタイムリーな情報を発信するうちに、共感してくれる人が増え、深沢さんの世界も広がっていったそうです。
誰でもウェルカム!「十三こども0円食堂」
「大阪子どもの貧困アクショングループ」(略称CPAO)の代表をつとめる徳丸ゆきこさんとの出会いも、深沢さんにさらなる一歩を踏み出させるきっかけを与えました。
子どもの貧困が地域の課題としてクローズアップされる中、自分の地域でも何かできないかと考え、2015年12月に、月に一度、子ども無料、大人500円でご飯が食べられる場所として「十三こども0円食堂」をオープン。
経済的な問題を抱える親子だけでなく、子育てがしんどいと感じる母親や独居の高齢者などが集まり、「みんなで食べる幸せ」を共有するあたたかい時間と空間を地域の仲間とともに提供しています。
子ども食堂のオープンには当初、否定的な意見もあったそうですが、地域の会合にも参加して根気強く自分の想いを伝え、信頼を得る努力を続けた甲斐あって、今では地域ぐるみで応援してもらえるようになったそうです。
子どもだけでなく「誰でもウェルカム」というコンセプトが多くの人を惹きつけ、今ではコワーキングの仲間も楽しみにしてくれているそうです。
自分らしい生き方のベースは「家族」
「先代から受け継いだビルがあるなんて羨ましい限り」と思われることもありますが、清掃やメンテナンス、事務、資金繰りなど何から何まで自分がやらないと誰もしてくれないハードな仕事です。
その上、自分たちの生活費だってどこからも入ってこない!というシビアな課題も…。
祖父の代から受け継いだこのビルをもっと人の集まる場所にしたいと願う深沢さんには自分らしく生きるコツがありました。
それは、「人に頼る」「最悪をイメージする」「くじけない」。
自分にできないことは周りにいる人の力を借り、常に最悪の状況を頭に入れておいて、万一失敗してもチャレンジを続けることが自分らしい一歩をすすめることにつながるとおっしゃいます。
そんな深沢さんの一番の応援者は「家族」。
うまくいかないことがあっても応援してくれる家族がいるという安心感が深沢さんのチャレンジのベースになっていると感じました。
*コワーキングスペース・・・個人事業者や小規模法人が仕事スペースを共用し、各々の仕事をしながら相互に関係性を築ける場所を意味します。