就職活動では「自分の軸」を大切に
初めての職業選択は、学生時代から社会人へと大きく変化する、人生の節目であると言えます。
その節目に向け、採用活動が本格化する前から、業界研究や会社研究、自己分析、インターンシップ等の活動に積極的に取り組んでいる方も多いことと思います。
しかし、就職には、勉学のように、「こうやれば8割以上の点数は取れる」といったような明確な手法がありません。
これといった正解が示されない初めての体験に苦しんでいる方が大変多くいるのではないでしょうか。
働き方ひとつをとってみても、他の人には合っていても、自分に合っているとは限りません。自分が何を求めているのか、何に幸せを感じるのかをはっきりさせておかなければ、納得いく選択はできません。まずは、職業選択における「軸」として、「自分は何を大事にして仕事を探すか」についてはっきりさせておくことが大切です。
とはいえ、これまでとは全く違う視点で考えを組みたてていくことになるので、どこから手をつけていいかわからない、という方も多いでしょう。
そこで、就職活動時には、会社の方も含め、たくさんの先輩方の話を積極的に聞くことをおすすめします。
ただし、話の聞き方が大切です。
いろんな人から話を聞くうちに、「誰が言っていることが正解なのか、わからない」という状況になることもあるかもしれませんが、まずは、その人の言っていることに共感できるかどうか、という視点でしっかり自分と向き合うことをおすすめします。
周りのためではなく、自分がどう生きていきたいか、自分の意志で選択しようとする気持ちが大切です。
そうやって試行錯誤しながら考えていくことで、少しずつ、自分の軸がはっきりしてきます。
女子学生が就職活動で考える視点とは
大阪市では、大学等と連携し企業における女性の活躍促進に関する取組紹介や、男女の働き方について学ぶ機会を提供する「次代を担う若者のライフデザイン支援事業」を実施しています。
平成29年12月14日には、関西大学で「女子学生のための就活セミナー」を開催し、106名の女子学生が参加しました。
ワーク&ライフキャリアコンサルタントの戎 多麻枝さんの講義の後、女性活躍推進に取り組む大阪市女性活躍リーディングカンパニー認証企業の小太郎漢方製薬株式会社、住友電気工業株式会社、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、富士通株式会社、株式会社マンダムの5社より、活躍されている現役社員の方々にお越しいただき、パネルディスカッションと座談会で様々な質問に答えていただきました。本イベントの内容について振り返りながら、「女子学生が就職活動で考えるべき視点」について考えていきたいと思います。
戎さんの講義では、
- 女性を取り巻く社会(進学率、有業率、年収、出産による退職率)について
- 女子学生が考えるこれからの生き方の理想とは?
- 自分軸を定めるためのポイント
などについて、お話いただきました。
その後、パネルディスカッションでは、さまざまなやりとりがなされましたが、特に「仕事とプライベートの両立」というテーマに関しては、活発な意見交換がなされました。
ここで、パネルディスカッションのお話の内容の一部をご紹介させていただきます。
現在、子育てをしながら勤務中だが、子どもが小さい頃は短時間勤務を選択し、今は、シフト勤務制度を活用して勤務している。今の会社では、自分が育児に力を入れたいとき、仕事に力を入れたいとき、それぞれに応じた制度があるので、活用しながら働けている。(制度を使う時に使いにくいとか、周りに悪いとか思うことはなかったかという質問に対して)最初に制度を使う時は勇気が必要だったが、上司に伝えたところ、「もちろん仕事は続けるよね?」と言われ、また後輩からは、「次は私たちがその制度を使いたいと思っているから、気にしないでください。」と後押ししてもらえた。
私は自分が制度を作った立場。マーケティング領域にいたが、ちょうど二人目が生まれたときに、子育てしながら働くということを考え、当時はまだ制度が整っていなかったこともあり、人事部に異動願いを出した。そこで働く母親という視点で、短時間勤務制度など、自ら制度を整えていった。自分も11年間短時間勤務を続け、その後フルタイム勤務に戻った。仕事をやっていることで子育てに活かせることもあるし、逆に子育てをやっていることで仕事に活かせることもたくさんある。おかげで大変豊かな生活ができている。
会社側から、女性社員に対して、「どんな制度があったらうれしいか」というようなことを聞かれている。自分がどのように働いていきたいのか、何が大事なのか、優先順位をどうつけるか?などについてしっかり自分で考えていくことが必要だと感じている。
長く仕事を続けるうえで大事なのは、ストレスをコントロールする力。プライベートには仕事を極力持ち込まないことを意識している。入社した当時よりも、様々な制度(長期休暇の取りやすさ等)が整ってきていると感じている。
国は今、「働き方改革」「女性の活躍促進」「長時間労働是正」など、さまざまな名称で改善に向けて働きかけを行っていますが、すべての制度が完璧に整っているわけではないという現状があります。
今回のパネルディスカッションからも、企業が試行錯誤しながら「常により良くなるよう、改善を試みている」姿勢がうかがえました。
今ある制度が享受できるのは、これまでさまざまなチャレンジを試みてきた先輩のおかげであり、これからの新しい働き方を支えていくのは、これから社会人となる学生さんも含め、今働いている私たちです。
環境が整わないことを嘆くより、常に自分たちが「どう生きていきたいのか」を考え続け、働きかけを行っていくことが、制度の改善につながっていくのではないでしょうか。
参加した女子学生の感想は・・・?
本イベントに参加した女子学生の感想はどのようなものだったのでしょうか。以下、要約して抜粋しました。
- パネルディスカッションで詳しい話を聞けて、個別にも話を聞けたので非常に良かった。
- 建前ではない本音レベルの話が聞け、働くイメージが以前より明確になった。
- 実際に育児をしながら、仕事を両立されている方の話が聞けて良かった。
- 業界研究や仕事内容というよりも、各社での「働き方」について知れたことがよかった。
- 自分が思っていた以上に仕事と家庭を両立できるのだなと感じて、驚いた。
- 女性の働き方について不安だらけだったが、今日のイベントで大分解消できた。
これらの感想から伺えるのは、女子学生の皆さんが想像以上にいろいろと自分の将来について考えているということ。また、一般の企業説明会では聞けない「働き方」について焦点をしぼった内容であったことも、興味深く話を聞いていただけた要因となっているようです。
このような学生側の意識変化に合わせて、採用活動時の企業側の情報提供のあり方も変わっていくかもしれません。