大阪市では、自分の将来について考え、可能性を引き出すことができるよう、グループワーキングなど体験的な要素を取り入れた授業、「体験型指導プログラム」を平成26年度に開発しました。平成27年度は、市立中学校6校、高校4校の計10校で実施しているところですが、そのうちの1校である大阪ビジネスフロンティア高校において、平成27年10月5日に特別講師を招いた対話型の講演会を実施しました。
ご講演いただいたシンクタンク・ソフィアバンクの藤沢久美さんは、大阪市立大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、96年に日本初の投資信託評価会社を起業されました。2007年にダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出され、2008年には、世界の課題を議論する「グローバルアジェンダカウンシル」のメンバーにも選出され、世界30か国以上を訪問されています。また、文部科学省参与、政府各省の審議委員や日本証券業協会公益理事等の公職に加え、上場企業の社外取締役なども兼務し、幅広い分野で活躍されてます。
海外を飛び回る藤沢さんは、自ら訪れた国々の写真を示しながら、アゼルバイジャンにおける英語教育の取組み、日本に友好的なミャンマー、女性の起業が盛んなサウジアラビア、藤沢さんが小学校に給食の寄付をしていて、学ぶ意欲は高いけれども教育環境が整っていないルワンダのこどもたちについてなど、様々な各国の実情を説明くださいました。
日本にいると、当たり前のことが多すぎて、勉強して何の役に立つのだろう、数学とか就職して役に立つのか? 働くというと、儲けるためにはどうするか? 自分がもっと格好よく生きるためにはどうしたらいいか? と思ったりするけれども、世界に行くと、私にはいったいどんな役割があるのだろう? 世界がつながってきた時に私たちはどんなことができるだろう? 世界の人たちが幸せになって、私たちも幸せになるためには、何をしたらいいのだろう? ということをすごく考えるようになったとお話してくださいました。
今回の講演は、ビジネスフロンティア高校の生徒が中心となって準備や当日の運営を行いました。事前に藤沢さんにインタビューを行って講演会の内容を藤沢さんと相談して決めたり、当日の司会進行も務めました。講演は、藤沢さんとの対話形式で行い、生徒からは、「最近行った国で一番印象に残った国はどこですか?」「仕事をたくさんこなす秘訣は?」「自分に負けそうになった時の攻略法は?」などの積極的な質問も飛び交っていました。
藤沢さんは「英語を身につけると、もっと広い世界を知ることができます。世界では複数の言語を話せる子どもたちがいっぱいいます。英語だけでなく、中国語やスペイン語、アラビア語などをマスターすると、世界のあらゆる人と話ができて世界の情報が集まってきますよ。日本人として何に取り組まなければならないかが分かります」と、海外での出会いや経験、日本との違いなどを織り交ぜてお話しくださいました。社会に出た時にいっぱいあるチャンスをものにできるよう、「やりたいけどできない・・・」と、すごく悔しい思いをしないためにも、今は集中して勉強して、そのトレーニングをしっかりする時だという藤沢さんの言葉に、参加した2年生約300人は、熱心に耳を傾けていました。