安全安心な「食」で人とコミュニティをつなぐ
田中 邦子さん(エコスペースゆう 代表)
「あったらいいな」という思いがスタート地点
大阪市天王寺区、四天王寺東門のすぐ近くにある無農薬野菜を扱う「エコスペースゆう」は、安心安全な食のネットワークを作ってきた田中邦子さんが運営する「美味しい暮らしの輪・話・和」の発信拠点。2000年のオープン以来、元気いっぱいの野菜とともに田中さんとお客さんの楽しい会話が弾む「食と人のつながる場」として賑わっています。
田中さんの活動の原点は、1995年に地域の子ども会活動として始めた「せいわエコクラブ」。
専業主婦として3人の子育て、PTA活動、地域活動に関わるうちに感じた「都会っ子たちに自然の美しさや大切さを伝えたい」、「食から暮らしを考える場があったらいいな」という想いからのスタートでした。
当時はまだエコに関心の低い時代。
田中さんの活動をいぶかしく思う方もいたそうです。それでも田中さんは「食から健康や環境を考えることはとても大事。そんな気づきの場があればなあ」と考え、無農薬野菜の収穫体験や琵琶湖の水源地ツアーなど親子向けのプログラムを企画、農村と都会、食と人をつなぐキーパーソンの役割を果たしてこられました。
「想い」あるところに人あり、情報あり!
お店の名前の「ゆう」には、結、友、優、遊など、さまざまな「ゆう」という音を持つ漢字と、英語のyouなどの様々な想いや期待の意味が込められています。
「ゆう」はエコショップではなく、エコスペースです。この場所で多くの人が出会い、語り、学んでいきながら、みんなで「暮らしづくり」を考えられたらいいなと思って、スタッフたちは関わっています。
赤ちゃんが生まれて初めて食の安全に関心を持つようになった若いお母さんが何人も「ゆう」を訪れます。
野菜を買うだけでなく、美味しくて安全な食に関する情報や3人の子育てを経験された田中さんのお話を目的にやって来るお客さんも実は多いそうです。
本当の情報が集まる所に、信頼できる“良い人”が集まる。
情報が溢れる時代だからこそ、信頼できる人たちとのリアルなつながりが大事と田中さんはおっしゃいます。
仲間とともに始める「次なるチャレンジ」
田中さんが子ども会活動を通じて最初のチャレンジの一歩を踏み出してから22年。
この春、田中さんは次なるチャレンジに向けて動き出します。
野菜や卵が相手の仕事は毎日が真剣勝負。
自分の年齢や家族との関係、これからの人生の過ごし方をふと考えた時、今まで突き進んできた自分の立ち位置を少し変えてみようと思ったそうです。
チャレンジしたい人を応援する立場になりたい!
「ゆう」をそんな人たちが集まる場所にしたい!
そんな場があちこちにあったらいいな!という思いが新たな活動を生み出そうとしています。
22年前の最初のチャレンジがあったからこそ次なるチャレンジが見えてきたのです。
「ゆう」は昨年末にリニューアル。
野菜を買うだけの場所ではなく、安心安全な食の情報発信と情報交換の場所であり、チャレンジしたい人、ご近所さん、消費者と生産者、都会と農村をつなぐ場所として、様々なアイデアを盛り込んだ新たなコミュニティの役割を持つ場所に、生まれ変わっていきつつあります。