つどう つくる かけあわせる場をみんなの力で【チャレンジの先輩に聞く!活動を始めるヒントVol.44】

大森昌子さん

大森 昌子 さん
(シェアキッチン&スペースbotan 管理人/デザインの窓口シュクル代表)

商店街のなかのコミュニティスぺ―ス

シェアキッチン&スペースbotan(以下「botan」)は、「つどう つくる かけあわせる」をコンセプトに、阿倍野区にある文の里商店街の一角で運営しています。「botan」という名前は、元々はボタンなどを売っている手芸屋さんだった場所を改装したことが由来で、「人と人が交わるところ」、「かけ合わせたものを留めるもの」という意味も込めて名付けられました。

キッチン、土間、和室を備えており、それぞれシェアスペースとして利用することができます。大森昌子(おおもり まさこ)さんは「botan」の管理人として、チャレンジをする人、それを楽しむ人、応援する人の出会いの場になるように、スペースの運営やイベント企画、来られた方への案内などをしています。

大森さんは、6年前に阿倍野区に引っ越してきたことをきっかけに、阿倍野区の魅力を集めて発信する地域活動に関わっていました。魅力的な人たちと出会い、縁がつながっていくなかで、いろいろな人と活動をつなげる場をつくりたいという思いからこの場所ができました。

きっかけからチャンスをつなぐ循環をつくる

「botan」の建物は、水回りや必要な工事以外は、ほとんどがDIY(※1)で改装しました。

元大工さんや建築家、DIY好きな方など、本職の方もそうでない方も、とにかくたくさんの方が力を貸してくれたそうです。

DIY開始からオープンまで実に約11か月かかりましたが、「●月●日はペンキを塗る日」など、イベントのようになり、出会いの場を作り上げるところから大森さんたちの協働は始まっていました。

「botan」では、令和3年11月から翌年3月までクレオ大阪中央のチャレンジカフェ(※2)を運営していた女性が運営する「れんげ堂」(毎週金曜日)、カフェ開業講座を修了した女性が運営する「綿雪café」(隔週火曜日)も出店しています。

「れんげ堂」では蒸しパンをメインにしたランチメニューなど、「綿雪café」では、コーヒーマイスターの店主が淹れるコーヒーやラテアートが楽しめます。将来は自分の店舗を持ちたいと考えている方にとっての実践の場になっています。「手芸部」や「美術部」などのやってみたいことを部活動にした取組みのほか、子育て世帯応援のフードパントリー配布事業や都会とローカルをつなぐ関係人口イベントなども活発に実施。毎月恒例の落語寄席も始まり、商店街のにぎわいづくりにも一役買っています。

「botan」は、さまざまな人がそれぞれの思いで動き出せる場であり、その動き出した活動を周りも応援できる場でもあります。そして、応援しているうちに自分もやってみたくなり、また新たな人やチャンスとの出会いの場となる。そんな循環を生み出していきたいと大森さんは考えています。

アドバイスをしなやかに受け止める

大森さんは、おしゃべりは好きだけど、人前で話したり注目されたりということは苦手。話をしてほしいという依頼があっても、「私なんて…」と断ってきました。しかし、ある時知人に「まずはやってみたら?」とアドバイスされます。人に褒められたときに「そんなことない」と返すのは、褒めてくれた人に失礼と考え、”ギフトとして受け取る”こともアドバイスされました。その知人だけでなく、いろいろな人が同じようにアドバイスしてくれていたことを思い返し、まずはやってみるという姿勢を心がけるようになりました。そうすることで、より活動が楽しくなったといいます。

アドバイスはしなやかに受け入れ、自分の糧にしてすぐに行動する大森さんの姿に周囲はつい応援したくなり、手伝いたくなります。「完璧じゃない」からこそ、上手に人を頼ることができ、周囲もつい応えたくなる、そんな魅力が大森さんにありました。応援団に囲まれつつ、これからも「botan」でまちのコーディネーターとして活躍されていくことでしょう。

シェアキッチン&スペースbotan
https://botan.localinfo.jp/

(※1) DIY(ディーアイワイ):「do it yourself」の略語で、自分自身で何かを作ったり、修理したり、リノベーション(改善)することを意味する。

(※2) チャレンジカフェ:クレオ大阪中央の3階にある、カフェ運営にチャレンジしたいと考える女性が、実際にカフェの経営を経験する場。
https://creo-osaka.or.jp/o-challenge/cafe/index.html

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