正社員からフリーランスのパラレルワーカーへ!自分のスキルや経験を活かし、自分らしい働き方を実現する女性をご紹介します。

田中成美さんサムネ

中小企業のデジタルマーケティングサポートや、高校や大学でのキャリアの授業など、フリーランスとしてパラレルキャリアを築く女性をご紹介します。
学生時代の就職活動は全く思い通りに進まなかったとおっしゃる田中 成美(たなか なるみ)さんが、どのように就職活動やインターンシップを経験し、ご自身のキャリアを歩んでこられたかを伺いました。

将来の夢は『教師になること』

私は小学校1年生の時の担任の先生に憧れて、小学生のころから教師になることが夢でした。教師になる夢を叶えるために四年制大学に進学しましたが、「働く=しんどいことで、お金を稼ぐためにすること」とネガティブに感じ、なんだか社会に出たくないなと思っていました。

そのような中、私の働く価値観を変えてくれた場所がありました。それは、京都の町家「学び舎傍楽(まなびやはたらく)」という場所です。ここは、学校でも家でもなく、第三の居場所というコンセプトで、当時株式会社ナオミ(以下、「ナオミ」と記載)が社会貢献活動として運営していました。「学び舎傍楽」では学生や社会人が一緒になって、働くことや家族のこと、社会のことなどその時の参加者が話したいテーマに沿って話し合う座談会イベントを定期的に開催していました。

その当時、社会人と話す機会はほとんどなかったので、イベントが面白そうだなと思い、私も参加してみることにしました。イベントに参加していた社会人は、会社員・経営者・農家・主夫/主婦・フリーランスの方など肩書きも職種も業種も様々でした。
全員に共通していたのは、「楽しそうに働いている」ということ。その1人が、当時ナオミの社長であった駒井 亨衣(こまい ゆきえ)さん(以下、「駒井さん」と記載)でした。当時の私は、働くことをとてもネガティブに捉えていたので、働くことを楽しんでいる社会人に初めて出会い、「私もみなさんのように楽しく働きたい!会社組織で働くことも楽しそう。」と思い、就職活動をすることにしました。

大学3回生の秋頃から就職活動を始めましたが、教師になることしか考えてこなかった私は、就職活動の準備が何もできていませんでした。「やりたいこと?」、「就活の軸?」、「SPI?」、「業界分析?」考えてもわからなくて、面接で「志望した理由は?」と聞かれてもうまく答えることができず、面接は不採用の連続でした。

インターンシップを通じて働く価値観が変わった

内定が出ず、落ち込んでいた私に連絡をくださったのが駒井さんでした。
駒井さんから「会社は求人サイトに書かれていることが全てではないよ。会社は人で作られている。だから、会社で働いている”人”を見た方がいい。日本の企業のうち、99.7%は中小企業。あまり知られていないだけで、良い中小企業はたくさんあるから。」とアドバイスをもらい、就職活動の方法を変えました。

やりたいことがなかった私は、会社規模や業種では絞らず、ネットで「会社見学に行ける関西の中小企業」と調べてヒットした企業の面接を受けることにしました。残念ながら私に合う企業は見つかりませんでしたが、ネットに掲載されている情報だけではわからない、実際に自分の目で確かめる大事さを学ぶことができた貴重な体験でした。

この経験を報告するために、再度駒井さんに連絡をすると、「ナオミでインターンシップをしてみる?」と声をかけてもらいました。就活に行き詰まっていた私は「ぜひ行かせてください!」と、大学4回生の5月からナオミでインターンシップを開始しました。
ナオミは、充填機の製造・販売している会社です。充填機はプリンやジャムなどをカップや瓶に定量で注ぐ機械で、日本全国約6,000社に機械を導入しています。

インターン生として働き始めたものの、その時はやりたいことがわからず、自分の強みも理解していませんでした。そこで、任せられた仕事を頑張るだけでなく、周りに困っている人はいないか目配りするなど、日々課題は何かを意識し、解決に向けてサポートできることはないか考えて一生懸命働きました。すると、「人手が足りず、自社のWebサイトの更新がほとんどできていない。」という社内の課題を見つけました。「Webサイトの更新なら、私にもできるのではないか?」と思い、駒井さんに「頑張って勉強をするので、Webサイトの更新のお仕事をさせてもらえませんか?」と自分からお願いをしました。すると駒井さんは「いいよ、一度やってみてごらん」とインターン生の私に仕事を任せてくれました。

Webサイトの更新はやったことがなかったので、まずはWebサイトの知識を習得するために、書籍を読んだり、セミナーに行ったりして勉強をしました。勉強をしながら、半年ほどWeb更新のお仕事を続けていると、Webサイトを経由してお客様からの新しいお問い合わせを何件かいただけるようになりました。また、そのお客様が機械を買ってくれたのです。

「Webサイトというデジタルツールを活用して、新しいお客様との接点を増やすことでナオミに貢献できるようになる。これが私のやりたいことだ!」と考えるようになりました。
そこで駒井さんに「私はナオミでこのお仕事がしたいです。大学を卒業したら働かせてもらえませんか?」と自らお願いをしました。「そこまでの想いを持ってくれているなら、ぜひ一緒に働きましょう」と言ってもらえて、大学卒業後、2016年4月に入社しました。

自分から行動することで、チャンスが増える

入社してからは正式にデジタルマーケティングの担当になり、Webサイトの制作・運用、SNSアカウントや公式YouTubeの立ち上げ、公式アプリの開発など、デジタルに関する新規事業の立ち上げを行いました。

私が学生インターンシップやナオミに入社してからの7年間で学んだ働く上で大切だと思うことことは3つあります。

1つ目は、「人生は一度きり。やってみたいと思うことは、まずはやってみる。」です。頭でできない理由を考えたり、誰かが声をかけてくれることを待っていたりしても、時間だけが経ってしまい、チャンスを逃してしまいます。仕事をする中で、チャンスを逃して悔しい思いをしたことは何度もありました。その教訓を生かして、失敗を恐れず、まずはやってみることを大事にしています。

2つ目は、「自分が心地いいと思える環境や仲間と働くこと」です。
苦手や弱みを克服する方が良いという考え方もあると思いますが、私は自分の強みを活かす働き方をしたいと思っています。そのためにはまずは持ち前の人柄を、仲間に自己開示することが大切だと考えています。

3つ目は、「周りの人に感謝の気持ちを表し続ける」です。
会社員として、新部署や新規事業の立ち上げ、副業が認められる制度の活用など、やってみたいことをさせてもらえたのは会社のメンバーはもちろん、周りのみなさんのおかげです。謙虚さと感謝の気持ちを忘れずに働くことを大切にしています。

なぜパラレルワーカーになろうと思ったのか

令和2年のコロナ禍より、友達にも会えない、会社のメンバーにも会えない、旅行も行けない・・・突然社会が止まってしまったような感覚になりました。入社してからがむしゃらに頑張ってきたので、一旦立ち止まり、「これから私はどのように生きていきたいのか?」とステイホーム中に真剣に考えました。

変化の大きい時代に豊かな人生を生きていくためには、既存の枠組みや1つの会社に所属することに捉われず、もっと自分らしく働くことが大切なのではないか、そのためには教養やスキルを身につけ、様々な人と出会い、多様な価値観に触れたりすることが大切だと思うようになり、パラレルワーカーという働き方が自分に合っているのではないかと考えました。

この記事を読んでくださった方の中には、「会社員として充実しているのに、なぜパラレルワーカーになりたいと思ったのか?」と感じられる方もいるかもしれません。同じ場所(例えば学校や会社)に居続けると、毎日同じ活動をして、同じメンバーと顔を合わせるため、どうしても日常に変化がなくなってしまいます。新しいものに触れて感性を磨き続けることが、これからの時代に必要なことだと私は思ったのです。

会社員を続けながら、新しいものや人に出会うにはどうすれば良いか?
そう考えたときに、「副業」と「社会人大学院」の2つの選択肢がありました。ナオミではどちらにも挑戦できる環境が整っていました。挑戦できるなら、どちらにも挑戦してみたいと思い、会社にお願いをして、副業も社会人大学院で学ぶことも両方してみることにしました。
副業は、自分のスキルや経験値をさらに高められるので、自己成長のためだけでなく、会社の成長にも貢献することができました。

社会人大学院では、体系的に学ぶことができたり、多種多様な社会人との人脈が増えます。社会人になってから学ぶ機会は減っていくので、体力的にしんどいことももちろんありますが、学べることがとても楽しいです。
これらを経験してみて、会社に属するのではなく、さらに広い世界を見てみたいと感じるようになり、令和4年12月にナオミを退職し、令和5年1月からフリーランスとして独立しました。

ナオミは退職しましたが、外部パートナーとしてこれからも関わる予定です。今後はフリーランスとして、中小企業のデジタルマーケティングをサポートしたり、高校や大学で「働く」について考える出前授業をしたり自分がやりたい仕事をしていきます。

学生のみなさんへのメッセージ

学生のみなさんに私から伝えたいことは、ぜひいろんなことに挑戦してほしいということです。

学生だからこそできること、学生時代にしかできないことがあります。経験や多様な価値観に触れて、視野を広げること。そして、自分から行動し続けることで、自分にとって心地よい働き方が見つかるのではないでしょうか。また、就職活動をすることが目的になるのではなく、大学1年生のころからいろんな社会人や会社、働き方に出会って、自分の視野を広げてみることをおすすめします。

私の就職活動の経験をお伝えすることで、若者のみなさんの何かヒントになればうれしいです。今の私は大学で教える講師になることを目標にキャリアを積んでいます。これからも私自身どんどん行動していきたいと思っています。

田中 成美
デジタルマーケター/ウェブ解析士
国家資格キャリアコンサルタント

滋賀県出身。京都府立大学 公共政策学部を卒業後、平成28年4月に株式会社ナオミに新卒入社。SEOコンテンツマーケティングを主力としたWebマーケティングに取り組み、4年でお問い合わせ400%アップ、売り上げは4億円アップ達成に貢献。
令和5年1月よりフリーランスとして独立。パラレルワーカーとして中小企業のデジタルマーケティングの支援や、自身の就活失敗の経験から出前授業などキャリア教育に関わる活動を行っている。大阪公立大学大学院 都市経営研究科 都市ビジネスコースに在学中。

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