学び合い・支え合う日本語教室!【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.53】

村川 和美 さん
(さくら日本語教室 代表)

夕陽ヶ丘の外国人の学び場

さくら日本語教室は長年に渡り、大阪で暮らす外国籍の方へ日本語を学ぶ場を提供しており、毎週木曜日にクレオ大阪中央で開講されています。こちらの教室は、クレオ大阪中央の前身である大阪市立婦人会館で「夕陽丘日本語教室」として始まり、1998年に「さくら日本語教室」として名称を変えて以降、20年以上ボランティアにより自主的に運営されています。
さくら日本語教室の代表、村川和美さんに活動・学習者への思いや、教室の今後などについてお話をうかがいました。

 

自分の思いを自分の言葉で伝えられるように

村川さんは、日本語教師になるための勉強をしながらいくつかの識字日本語教室にボランティア講師として通っていました。外国籍の方に識字を教える中で、識字だけではなく実際に使える、学習者それぞれのニーズや要望に沿った日本語を伝えたいと思うようになりました。

その頃にさくら日本語教室への参加を誘われ、講師として関わるようになり、10年近くになります。

日本語学校とさくら日本語教室に講師として通う中で、「自分の将来に夢を抱いて日本語を勉強する留学生」と「家族の今の生活と将来をより良きものにしたいと考えて勉強する滞在・在住者」のそれぞれの違いを知りました。

さくら日本語教室ではテキストを使って学習を積み重ねるだけでなく、学習者と講師を含めた交流の時間を多くとっています。一般的な日本語教室よりも、より生活に密着した日常的な会話を学べる場であることが強みです。

例えば、生活の中では「ママ友とどんな風に話せばいいの?」「お医者さんにかかるとき、症状をどう伝えたらいい?」「子どもの学校の先生に受験について相談したい」など、通訳を入れずに自分で話したいと意欲はあっても、実際に話すには難しい場面があります。
そういった場面では、会話はテキスト通りにできるわけではありません。学習者の思いに寄り添い、ニーズに合った場面を想定したロールプレイを通じて、学習者が自分の言葉で自分の思いを伝えられる手助けをしています。

 

異国でのあたたかいコミュニティ

村川さんは、さくら日本語教室をただの語学教室ではなく、大阪で暮らす外国籍の方の交流の場にしたいという思いで運営されています。

毎週の教室に加えて、年に3、4回ほどイベントを実施しています。普段は初級から上級までレベルごとに分かれて学習をしていますが、イベントではクラスの枠を超えて交流することで、学習者同士で横のつながりが生まれています。

村川さんをはじめ講師たちは、うちわづくりや習字などを通じて学習者が日本の季節や行事に触れる機会を提供しています。また、学習者それぞれの出身国の料理を楽しみながら文化を紹介し合うなど、学びだけではない交流がされ、温かいコミュニティがさくら日本語教室で広がっています。

支え合い、一人ひとりに寄り添う教室

長く日本語学習者の支援を続けている村川さんの活動の原動力は、学習者が学びを楽しみ、その喜ぶ顔を見られることだそうです。

講師が一方的に学習者を支えているのではなく、学習者と講師が支え合って教室は運営できていると笑顔で話してくださいました。さくら日本語教室は、一人ひとりの思いや背景に寄り添いながら、学び合いだけでなく相談し合えるような場であり、人と人がつながっている実感があるとのことです。

村川さんが代表になった経緯は「順番だった」とのことですが、次に代表になる方が安心してバトンを受け取れるように、そして無理なく運営を続けていけるように、環境改善にも取り組まれています。「こうしたい!」を伝え合いながら、これからも、活気あふれる温かい教室を未来につないでいってくれることでしょう。

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