廣瀬 みどり さん
(ひがさくクリエイト 代表理事)
シングルマザーを応援したい!
ひがさくクリエイトは、東成区の企業区民連携活動「ひがしなりソケット」から2018年に生まれた地域団体です。母子生活支援施設(※1)や地域で生活するシングルマザーの仕事を創造するための活動をしています。
活動内容は、クラフト制作に特化した就労支援、シングルマザーの居場所づくりや子ども食堂の運営などさまざま。就労支援といっても、ただ職場を探すのではなく、その人らしい働き方を見つけるお手伝いに重点を置き、「得意なことで役に立つ」をモットーに活動しています。そんなひがさくクリエイトの代表として、女性の応援を続ける廣瀬みどりさんにお話を伺いました。
得意なことで役に立つ
廣瀬さんはもともと母子生活支援施設に長く勤務し、母子の生活と自立を支えてきました。その中で、ひとり親への就労支援制度は豊富にあり充実しているけれど、自信がなく就職活動ができない方を応援する仕組みや場所がないと感じるようになりました。また、支援制度とうまくマッチしないシングルマザーの姿も見てきたそうです。そこで、人との関わりや就労に前向きになれるようなコミュニティを作ろうと決意し、2018年にひがさくクリエイトがスタートしました。
ひがさくクリエイトは現在、平野区で週1回のハンドメイドアクセサリーなどの制作、東成区で月1回の「中本キッチン」という子ども食堂の運営、そして、シングルマザーの自尊感情スキル習得プログラムの実施の3つを柱として活動しています。
その中でもメインとなる活動は、週1回のハンドメイド制作です。ビーズやレジンの可愛らしいアクセサリーなどの小物を制作し、年に数回クレオ大阪中央の「わいわいサタデー」などの催しで販売をおこなっています。安心できる場所で手を動かしながらおしゃべりをしたり、アイディアを出し合ったりすること、また、自分たちが制作したものがお客様の手に渡る様子を見ることが、利用者たちの自信と楽しみになっているそうです。
このように、ひがさくクリエイトでは、利用者が楽しみながら少しずつ自信をつけられるような環境を整え、自立に向けて前向きになれるようなサポートを続けています。また、利用者だった方がスタッフとして運営に加わるなど、「支援される側」が「担い手」になっていくこともあるそう。廣瀬さんの思いに共感した仲間と共に、活動の輪を広げています。
多様な働き方ができる社会をめざして
女性は特に、家事や子育てを担う時間が長い傾向にあり、働く上で時間等の制約が大きくあります。子どもを抱え、孤立しがちなシングルマザーが、自分らしい生活を大切にしながら働けるよう、時間や場所を自由に選べるように、より多様で柔軟な働き方ができる職場と雇用形態が必要だと考えています。
また、ひとり親が社会に参画し、存在を認められる機会は、将来を担う子どもの成長にもつながると言えます。ひがさくクリエイトは、地域や企業とも協働しながら、就労前のシングルマザーを支え、エンパワーメントしながら前向きに生活できるようなフォローをこれからも続けていきたいとのことです。
シングルマザーの応援を続ける廣瀬さん。利用者一人ひとりに真摯に向き合う姿勢はとても優しく穏やかで、この空気が、シングルマザーのあたたかい居場所を形作っているのだと感じました。ひがさくクリエイトのこれからの活動に目が離せません。
(※1)母子生活支援施設…18歳未満の子どもを養育している母子家庭、または何らかの事情で離婚の届出ができないなど、母子家庭に準じる家庭の女性が、子どもと一緒に利用できる施設