わが家らしい子育てを見つけられるコミュニティを作りたい!パラレルキャリアワーカーとして働く女性をご紹介します。

山村亜希

15年間の教育業界で働いていた経験を活かし、ご自身の出産後に親子向け教育のイベントや子育て世代のママ支援を始められた山村亜希さん(一般社団法人子育てママの応援ぷらっとホーム代表理事)にお話を伺いました。
「すべての子育てが尊重され、サポートされることが当たり前の社会」を目ざして「わが家らしい子育てを見つけられるコミュニティ」を作りたいという思いで活動をされています。

今に至るまでの経緯について、教えてください。

私自身、子育てに戸惑い、ひとりで育児をこなす辛さに泣くこともありました。そんな中、出産後様々な出会いやチャレンジを通して見つけたのが、「複業スタイル」でのキャリア形成の仕方です。今現在は、副業が可能な会社で会社員をしながら、自分のやりたいライフワークや得意なスキルを生かして、仕事の幅を広げています。

会社員として

私は現在、保育や子育てサポート関連の会社で会社員として勤務をしており、令和3年度末まで、大阪市から受託した地域子育て支援拠点事業において施設の運営責任者を担当していました。
また、「コロナ禍でおうち時間の増えたパパやママをサポートできるような仕組みをつくりたい」と考え、子育てに関する学びとコミュニティを育てる共助型サービスを会社に提案したところ、社長に背中を押していただき、新事業として開発を担当させていただきました。

「子育て支援」といえば、子どものあそび場の提供というイメージがあるかもしれませんが、今の社会では子どもへの働きかけだけでなく、子育てに負担を感じているたくさんのパパやママたちへのサポートや、保護者が心を休められる時間や仲間を得ることへの働きかけが重要だと私は考えています。

パパやママを通して子どもの安全と成長を見守っていくというスタンスで、「共に育てる」ことのできる施設やサービスを目ざして活動を進めてきました。

約3年間、子育て支援拠点の運営と新事業の開発とで大変忙しい毎日でしたが、仕事はとても楽しく充実しており、素晴らしい仲間にも恵まれました。
ただ新しいことへのチャレンジというのはいくら楽しくても心身共に思っている以上にエネルギーを消耗してしまうものです。責任のある立場ということもあり、頼るのが下手な私は帰宅の時間がどんどん遅くなり、子どもを迎えにいくのも毎日最終保育時間ギリギリで、保育園と小学校学童の2拠点送迎をひとりでこなしていました。

そんな状況でしたが、私がやりたい仕事に取り組めるチャンスと環境を会社から与えてもらったことに加え、たくさんの同僚や上司に支えていただけることもありがたく、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。

勤務先のルールでは、週に2回は在宅勤務が可能で、11時から16時までの時間帯以外はフレックス勤務が可能という働き方ができます。
月の勤務時間数は決まっていますが、土日に出勤するなどして平日に休む時間を調整することも可能です。

この制度のおかげで、学校や幼稚園の保護者活動や参観、懇談にも時間を取りやすく、小さい子どもの度重なる通院やアレルギー治療にも通いながら働くことができました。

イベントやママ支援のリーダーとして

副業として一般社団法人子育てママの応援ぷらっとホーム代表理事としての活動もしています。

教育業界での15年間の経験と、自身の出産を経て、現代の子育て環境に合うような親子向け教育に関するイベントやママ支援を始めました。私は「すべての子育てが尊重され、サポートされることが当たり前の社会」を目ざしています。「わが家らしい子育てを見つけられるコミュニティ」を作りたいと活動中です。

私自身が子育てをしながら仕事を続けてきた経験があるので、「子育てと仕事を両立していこう!」と頑張っているママたちと一緒に歩める文化を作りたい、社会的にも子育てに携わるママの地位向上を!という願いが生まれました。夢を持って働けるママが増えると嬉しいなと思っており、今後も活動を続けていきます。

そのほかにも、ジャンルは違いますが式典やシンポジウムの司会業、ナレーションの録音のご依頼などにも応じて仕事をしています。

忙しい毎日だと思いますが、原動力は何でしょうか?不安になったりもしますか?


1日8時間は会社員としてのフルタイム勤務、その他の時間は副業に充てるため、どうしても働いている時間は多くなります。休息や家事育児の時間が少なくなると不安になったり、体調不良になったりすることもありました。

ただ、私は会社の仲間と共に働く喜びと企業に属するという安定感があり、プラス自分個人としてもお仕事をいただける環境がある今の生活に充実感を覚えています。本当にありがたく、毎日が充実しています。家族や周囲の温かい支えや応援もうれしく、不安なことや疲れることがあったとしても前向きに頑張ることができます。

副業での思いがけない出会いや経験が会社員としての仕事にもつながるなど、会社での業務以外の活動によって視野も広がるような気がします。

パラレルキャリアを通して学んだことや感じていることはありますか?

まずは、「頭と体力の両方における余白の大切さ」を実感しています。

時間的なゆとりはもちろんですが、体力や精神面での余裕がないとイライラしたり、仕事や家事の効率が下がったり、焦りや不安も起きやすくなります。疲れたら体を休め、睡眠をとるだけでなく、疲れにくい生活を設計していくことが大切だなと感じています。

そのために「しないこと」と「考えないこと」を決め、優先順位を決めるようにしています。
私は自分のキャパシティを努力で増やそうと気合を入れてしまいがちでしたが、反対にそもそもキャパシティを減らさない工夫をする方が、体力・気力の温存に効果的だと気づきました。

そのために、食材や日用品の宅配サービスや最新家電を大いに利用し、思い切って家事代行やシッターさんを頼ることもあります。限られた時間で家事育児、地域活動などの日常を回しながらの日々は大変で、スピード勝負でもあります。特に我が家は実家が遠く、周囲に頼ることのできる親戚もいないため、家事や育児をアウトソーシングすることもあります。


(シッターさんと子どもたち)

2つ目に、自分とうまく付き合う「自己理解」の大切さを感じています。

子育ても仕事も「自分に合ったやり方」をすることが大事だと思っています。人は苦手なことをする割合が多いと疲労を感じやすく、時間もかかり、その結果、人に迷惑をかけてしまうことも増えます。

「私はどう感じるか」「何を大切にしたいか」「得意/不得意」を知り、自分とうまく付き合うことで周囲とのコミュニケーションもしやすくなると考えています。

3つ目は、人に頼ることの大切さを感じています。

苦手なことを相談すること、弱音を吐くことが恥ずかしかったのですが、仕事のことも身体のことも、子育てのこともしんどい時は助けてほしいと、まず周囲にお願いしてみるようにと先輩から教わりました。相手が助けてくれるかどうか、迷惑だと感じるかどうかは聞いてみないと分からないんだよ、とアドバイスをいただきました。

自分の勝手な想像で、頼ると相手に申し訳ないと判断してしまうのではなく、夫婦でも会社でもお互いの気持ちを聞き合い、相手を信じて頼ってみること、その大切さを学びました。自分と似た環境の先輩や同じような業務を経験した専門家に尋ね、教えを乞うことで新しいアイデアや突破口が見つかることもあります。

今後の活動への思いをお聞かせください!

共働きかそうでないかに関わらず、「すべての子育てが尊重され、サポートされることが当たり前の社会を作りたい!」という思いは、私の中でますます強くなっています。

今の時代にあった形を模索し、子育ての些細な悩みや愚痴も気軽に吐き出すことができるような居場所を作りたい!そばにいる人が当たり前に寄り添ったり、さりげなく助けたりしてくれる世界になってほしい!

そのために子育ては喜びや幸せを伴うすばらしい営みであるという認識を社会全体へ拡げたい、少子化で子育て世帯が減っている今だからこそ、追いやられるのではなく応援される空気を作り出せる活動を今後もしていきたいです。

次の世代のママには「子育ても仕事も両方楽しめる!」ことが当たり前の世の中を目ざして、同じ思いを持つ人々と共に、手を取り合ってセーフティネットを築いていけたらと思います。

山村亜希
一般社団法人子育てママの応援ぷらっとホーム代表理事。
保育や子育てに関わる会社で会社員として勤務し、大阪市から受託した大阪市地域子育て支援拠点事業ぬくもりのおうちひろば(2018年4月〜2022年3月)では、運営責任者を担当した。
8歳、4 歳の子育て中。
社団法人で子育てイベントの企画、司会やナレーターなど、多様な働き方で複業・パラレルキャリアを歩む。

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