インターネットを活用した通信制高校の1期生として平成30年6月に卒業し、今は「ニートであり、起業家」と自分を表現する冨樫 真凛(とがし まりん)さん(令和元年9月現在満19歳)に過去のご経験を振り返っていただきながら、現在の活動についてお話をうかがいました。
その1はこちらをご覧ください。
ニート兼起業家!? 18歳で会社を設立した女性、冨樫真凜さんの夢とは(その1)
https://osakaladygo.info/marin-togashi-realvoice1
高等学校を卒業後の私
高等学校を卒業した後、平成30年12月に「合同会社Seabrook」を設立、代表社員になり起業しました。現在は東京を拠点に活動しています。
Seabrookという社名の由来をよく聞かれますが、特に深い意味はなく、好きな映画に出てくる地名にしました。自分の名前が真凜(まりん)ということもあり、海に関するワードにしたかったという理由もあります。
ではここで、今までに行った取組やイベントをご紹介したいと思います。今は「お母さんが余裕をもって楽しく育児ができる環境作り」をメインテーマに活動をしています。
渋谷papamamaマルシェの実行委員としての役割
渋谷papamamaマルシェとは、渋谷区在住・在勤の0〜3歳児をもつ家族を対象に、「つながり」をつくることを目的とした団体です。つながりを作る場として、年に一度様々な団体(ベビーマッサージや読み聞かせなど子どもに関係する団体)を一つの場所に集めるマルシェを開催しています。
各団体ごとにブースを出店していただき、来場者とコミュニケーションが取れるように設計、来場者同士もつながれるようワークショップなども開催しています。イベント自体は毎年300名近くの方にご参加いただいており、私はイベントの企画・運営をしています。
参加者から寄せられた感想をご紹介します
・今まで知らなかった育児団体や様々な活動を知ることができたので、これからの育児が楽しくなりそうです。
・妊娠期に引っ越してこられた方にもお勧めしたいです。
・スタッフの方々・出展者の方々を見て、渋谷区で、地域の子育てを盛り上げよう・楽しもうと活動なさっている方がこんなにいるんだと知り、心強く、嬉しくなりました。
・今後子どもが大きくなったときに家族で行ける場所が身近にたくさんあることに安心し、楽しみになりました。
などといった反響をいただいています。
つながりに関しては、子育てにとって「孤独」であることが最も問題だと私は考えており、それを解消できるのが「徒歩10分圏内に頼れる人を作る」といった地域のつながりです。
「子どもを産むまで、会社と自宅の往復で地域のつながりなんてひとつもなかった」という方もお見かけしますが、いざ子育てが始まると生活圏は一気に地域の中になります。
そんな中、子育てに関する不安や悩みをシェアできる人がいる、地域で子育てされていた先輩がいる、いざという時には頼れる人がいる、というつながりはとても大事だと思っています。
こうしたイベントがあれば、この場に来るだけでつながりを作りやすくなりますし、つながりを持ちやすくするよう住んでいる地域が近い方同士でワークショップを組んだりして、きっかけ作りをしています。
ベビーシッターとしての役目
平成30年9月にはアメリカのミズーリ州カンザスシティにあるご家庭にまるまる1ヶ月間住み込みをしながらベビーシッターをしていました。
その経験を活かし、今もベビーシッターとして、主に知り合いのお子さんをお預かりしています。赤ちゃんから小学校低学年くらいまでが対象で、1時間だけの時もあれば、2泊3日泊まりがけでお子さんをみることもあります。
日本国内でベビーシッターをお受けする時は、お母さんのお仕事の都合でのお預かりが最も多いです。完全にお子さんのみを預けていただくパターンもありますが、自宅勤務や会議の際に同じ部屋内で子どもと遊んでいてほしいというご依頼もあります。お母さんのニーズにあった面倒の見方をしています。
シッターの経験から学んだこと
シッターの経験を通して私が学んだことは、「子育てはみんなで行っていくものだ」ということです。「子どもは産んだ親の責任、親がすべての面倒をみる」というのではなく、できるときにできる人が少しずつ協力しあって子どもが育つ環境を整えていく。そうすることで、子どもは多様な大人と関わりを持ち、自分で世界を広げていき、自分なりの生き方を学んでいくのだと思っています。
また、親としても、自分一人で孤独に子育てするのではなく一人の人間として、様々な人や社会とのつながりを持ちながら子育てすることによって、すべてを自分一人で背負うことはなくなり、ストレスを軽減しながら子どもと接することができると思いました。
保護者の方からは、「自宅と保育園の往復になる毎日だったが、そこに週に一回でもナナメの関係を持つ存在が入ることで、刺激があり大きく成長したと思う」という反響をいただき、嬉しい思いです。他にも「長男長女が親ではない年上の人と遊ぶ機会ができて嬉しい」という声をいただいたこともあります。
どの方も、子育てに常にいるコミュニティではないところにいる人間(私)が関わることにより、子どもが新しい価値観に触れて変化したと感じるようです。
令和子育ち研究会を発足!
令和の時代に親になるメイン層であるU(アンダー)25(25歳以下)の若者たちで、「令和の子育て環境を変えよう!『令和子育ち研究会』」という団体を発足しました。まだまだ動き始めではありますが、自分たちの考える楽しい子育てに必要な要素を考え、「現状なぜそれができていないのか」「実現するために必要なステップは何か」「効果的なアクションは何か」を研究し実行していきます。
もちろんU25以外の方も巻き込みながら、社会全体でムーブメントを起こそうと頑張っています。
「令和子育ち研究会」の活動はまだ始まったばかりではあるのですが、参加者からは、自分が子どもを授かった場合のキャリアを考えるきっかけになったという声を多く聞きます。
具体的には、「何歳で子どもを授かりたいか」「仕事と育児の両立はどのように行っていくのが良いか」「パートナーに確認しておくべき価値観は何か」「就活する時には企業にどういった質問をすると子育てしやすい会社かわかるのか」などです。
私からは窮屈と見て取れる現在の育児環境を令和の時代では変えていきたいと思った時に、未来の親である私たちの意識改革が必要だという結論になり、この令和子育ち研究会を発足させました。そのため、現在の制度や法律について学び、政策提言するよりもU25で同じような意識をもつ人を増やす方向でこれからも活動を進める予定です。
今後の展望・目標は…
日本に住む子どもたち全員がわくわくできる環境をめざし、まずは子ども時代に一番多く関わる「親」の余裕づくりをしようと思っています。
そのために自分の教養やスキルも身につけていきながら、多くのご家庭と関わり、自分の周りから育児がより楽しいものになるよう働きかけていきたいと思っています。
令和子育ち研究会という団体を作ったのもこれらの目標を達成するためで、次世代(次に親になる世代)である私たちから、多くのつながりを持ち、育児を助け合いながら、楽しくしていくことをめざしています。
親が余裕を持ち、育児を楽しみながら子どもに向き合える環境が整えば、相乗効果で親と子の関係も整うのではないでしょうか。そう信じて、これからも活動を進め、私自身が親になる日を夢見ています。