子ども会の会長から防災NPO法人代表へ 大槻由美さん(防災士、NPO法人とれじゃーBOX 理事長)【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.7】

大槻さん

ボランティアのイメージを変えた、海外生活

防災士としてクレオ大阪中央をはじめ大阪市内各地域で活躍中の大槻さん。
子ども会会長から地域活動を経て防災士となり、NPO法人とれじゃーBOX理事長として多忙な日々を送っておられます。

そんな大槻さんの活動のルーツは、意外にも夫の海外転勤に同行して過ごしたシンガポール時代にありました。

当時、大槻さんは生まれて間もない双子の育児真っ最中、しかも英語力ゼロという状況で、いきなりのシンガポール生活が始まりました。
双子用のベビーカーを押しながらどこへ出かけても聞き取れない言葉が飛び交う中、超多忙な夫を支える日々だったそうです。

ある日、異文化のストレスに疲れて切っていた大槻さんに運命的な出会いが訪れます。

「困った時は差し伸べられた手をしっかりつかんでいいのよ」と、ある外国人の女性からかけられた一言で自分の周りがパッと明るくなりました。

自分もいつか困っている人に手を差し伸べられる存在になりたい、と強く思った出来事だったそうです。

地域活動から「防災士」の道へ

防災士として活躍する大槻さん

帰国後大槻さん一家が暮らすことになった地域は1万人の住民が暮らすニュータウンでした。

地域活動には常に新しいアイデアや知恵、エネルギーが求められる一方で、新参者が入りにくいのも現実。

大槻さんは、まずこれまで地域活動を支えてきた”先輩方”との信頼関係を築くこと。

そして、今ある活動を知り、できそうなことはお手伝いさせてもらう、という柔軟な感性がとても重要だと考えました。

徐々に地域に顔見知りができ、地域活動の経験も少しずつ積み重ねた頃、地域のソフトインフラとして防災に取り組むチャンスが訪れます。

これまでに少しずつ信頼関係を積み重ねてきた“先輩”からの勧めで、地域を代表して2009年に防災士資格を取得して以来、同時期に防災士となった仲間とともに女性の視点、親の視点に立った防災意識の啓発やオリジナルの防災講座の企画運営の経験を経て、行政と地域と人を防災でつなぐ役割を担っていくことになります。

防災士として活躍される大槻さんの原点は、まさにシンガポールで学んだ「困った時は助けてもらう、助けられる時は手を差し伸べる」というボランティアの考え方。
思いがけず取得することになった防災士資格が、地域に根付く大きなきっかけになったそうです。 

地域は「宝の箱」という視点

地域活動の一環として始まった防災の取り組みが、多方面から注目を浴びるようになり、2012年にNPO法人とれじゃーBOXを設立されました。

居住地域だけでなく大阪府内の各地域でも講演活動や防災イベントを展開しておられます。

「トレジャーボックス」とは「宝箱」のこと。地域は人という宝が詰まった宝箱という視点で、日々暮らしているからこそ気づく支援が必要な人、支援できる人の存在を地域の防災に生かすこと、そして災害が起きた後も共に支え合い立ち上がれる地域を目指すことの重要性を発信されています。

今後は未来の防災の担い手としての子どもの役割に注目し、学校での防災教育と行政と地域をつないだ取り組みを進めていきたいとのことです。

シンガポール生活〜地域活動〜防災士という大槻さんのキャリアを振り返ると、当時は身近に相談できる場所がなく試行錯誤の繰り返しだったそうです。

【女性チャレンジ応援拠点】には、「ここに来れば誰でも本音で話せる、時には他人の失敗からも学べる場所」として多くの方の想いに寄り添える場所になればと期待を寄せてくださいました。

大槻さんの座右の銘は「地域活動のリーダーたるもの、雪の“ちり”であれ」

美しい雪の結晶のはじまりは小さな“ちり”。

そこに水の分子がどんどんつながっていくことで、雪の結晶は作られます。

雪の結晶が大きくなるほどに“ちり”は存在すらわからなくなる。

地域の活動はそういう見えない存在によって支えられていること、自分もそういう存在でありたいという想いが詰まった素敵な言葉だと感じました。

NPO法人とれじゃーBOX

大阪府堺市南区新檜尾台1-4-15
https://www.facebook.com/NPOtbox/

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