ココが知りたい!働く女性のホンネ【大阪市次代を担う若者のライフデザイン支援事業 記事5】

女性の本音

妊娠・出産を機に退職を考える女性はどれくらい?

妊娠・出産を機に退職を考える女性はどれくらいいるのでしょうか?
図①の調査結果によれば、ここ数年で、出産後就業継続している女性の割合が大きく変化していることがわかります。有識者のうち、直近の2010~2014年で出産退職する割合は46.9%になり、就業継続する女性は初めて5割を超えたということになります。有識者のうち半数以上の女性が就業継続しているということです。
就労継続を望みながらも「やむを得ず」継続できなかった女性も含めれば、多くの女性が継続して就業することを希望していると言えるのではないでしょうか。

図①第1子出生年別にみた第1子出産前後での妻の就労変化
第1子出生年別にみた第1子出産前後での妻の就労変化
(出典:「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2016年)国立社会保障・人口問題研究所)

さらに、妊娠・出産前後に退職をしている女性が、どのような理由で退職しているのか、調査した結果がありますので紹介します。(図②)

図②妊娠・出産を機に退職した理由
仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業
(出典:「仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業」平成27年度厚生労働省委託事業)

ここで注目すべきは、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」が、正社員で25.2%、非正社員で17.1%もあることです。

また「解雇された、もしくは退職勧奨された」は、正社員で15.7%、非正社員で13.0%となっています。

少なくとも正社員で40.9 %、非正社員で30.1%の方が「続けたかったけれどもやむなく辞めた」と考えられるのではないでしょうか。
働く意欲のある方々がこれだけ辞めざるをえないという状況は、今の日本が抱える問題を大きく映し出していると思います。

一方で、自ら退職を選択していない女性がこれだけいるというのは、驚くべきことであるとともに、大きな可能性を秘めているとも言えます。
条件さえ整えば、働いた経験のある方がこれだけいるということが言えるからです。
人材不足が企業にとって大きな課題となっていますが、子育て中の女性に着目して環境を整えていけば、こういった辞めざるを得なかった女性を含め、広く関心を集めることができるのは明らかでしょう。

 

女性の活躍が進まない理由とは?

多くの企業で女性の積極的な活躍、登用が進んでいるにもかかわらず、全体的にはまだまだ進んでいないという現状があるのは、みなさんご存知のとおりかと思います。その背景にはどのような考え方があるのでしょうか?
少し専門用語となりますが、みなさんは「統計的差別」という言葉を聞いたことがありますか?男女の働き方について議論される際、専門的な言葉として使われている言葉です。

「統計的差別」とは、差別的な意図からではなく、過去の統計データに基づいた経済合理性を追求した姿勢から結果的に生じる差別のことです。

企業は過去のデータをもとに、労働者の業績と性別・年齢・学歴などの属性との関係について平均的な傾向がつかめるので、属性間で明らかな違いがあれば、より結果のよい属性を持つ労働者を厚遇しようとします。
このように経済合理性を求めて行動すると、結果として差別が生じる状況を「統計的差別」と呼びます。

女性の労働に関していえば、多くの女性が結婚・出産を機に退職(辞めざるを得ない、あるいは自ら辞める、を含む)しているため、統計的に定着率が低く、勤続年数が短いことになります。

当然多くの企業は過去のデータを活用して採用に活かしているでしょうから、企業が経済合理性を求めて活動している限り、女性への昇進の機会やキャリアアップのための投資等が行われにくいといった状況に陥ってしまう。
つまり、単なる差別意識だけではなく、過去のデータに基づいた行動であるだけに、改善されにくいといった考え方です。(参考:『働き方の男女不平等 理論と実証分析』(山口一男)

しかし、既に前段で見てきたとおり、ここ数年で女性を取り巻く環境、特に女性側の働く意識は大きく変化しています。
もし男性しか活躍できない職場になっているのだとしたら、いったいそれはなぜなのか、について考えることで、結果的に女性も男性もともに働きやすい職場になるのではないでしょうか。
そうなれば、こういった「統計的差別」の問題も解消していくことと思います。

続ける?辞める?転職女性の本音とは?

就活ソニックホンネ
大阪市では、これから就職を考える学生に対して、多様な働き方や仕事と家庭を両立させることなど、自らのライフデザインについて考える機会を提供する「次代を担う若者のライフデザイン支援事業」を行っています。

平成29年12月23日に梅田クリスタルホールで行われた業界研究イベント「就活ソニック」では、参加学生を対象に「女子学生のための就活講座」と題したセミナーおよび実際に現在現役で活躍されている女性社員の方とのディスカッションが行われました。

ディスカッションでは、現在もそれぞれの形でいきいきと活躍中の二人の女性が、自らの体験を元に本音でいろいろと語っていただけました。

お二人ともに共通していたのが、「初めて就職した会社では、仕事とプライベートの両立や、自分が結婚した後のことについてはそれほど考えていなかった」ということです。

働き始めてすぐ、キャリアの初期のころは、向上心の強い女性ほど夢中で働いてスキルを身につけ、仕事に没頭する方が多いのではないかと思います。だからこそハードワークになってしまうことも多いのかもしれませんが、そのことが逆に、結婚や出産などのライフイベントをきっかけに「このままでは続かないのではないか」という不安につながることもあるのではないでしょうか。

結婚等をきっかけに、自分がどのような環境で働いていきたいのか、仕事を続けるのかどうか、多くの女性が選択を迫られます。その背景には、男性側の労働時間や仕事の在り方等がハードであるから、ということも大きく関係していることでしょう。

「働き方改革」含め、生産性を向上させるための取組は、こういった意欲のある女性を活用するためにも必要な取組ではないでしょうか。

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