アレっ子とその家族を笑顔に!その後
〜チャレンジの先輩に聞く! 活動の始め方・続け方のヒント Vol.63

おおはしともこさん
(月ノヒカリ代表 アレっ子ライフパートナー)
おおはしともこさん(月ノヒカリ代表 アレっ子ライフパートナー)

 

アレっ子(アレルギーがある子ども)も家族も安全・安心な場を

おおはしさんは、アレルギーがあってもなくても、みんなで一緒に笑顔で楽しく暮らせる社会を作っていくことを目標に活動をしています。

活動のきっかけは、家族で外食に出かけた際、重度のアレルギーがあるお子さんがチアノーゼを起こし意識不明になった出来事でした。事前にお店へ確認をしていたのにもかかわらず、料理にアレルゲンが含まれていたのです。この経験を機に、自分たちのような辛い思いをする人をなくすため、アレルギーに関する正しい知識や自身の経験を伝える活動を行いたい、と強く思うようになったそうです。
おおはしさんは6年前にも「チャレンジの先輩に聞く!活動の始め方・続け方のヒント」に登場いただきました。(詳しくはⅤol.18をご覧ください。)今回は、その後も活動の幅を広げながら、活動を続けてきた6年間について、あらためてその内容や心境の変化を伺いました。

家族の言葉をきっかけに

この6年間で、最も大きく変化したのは「気持ちの面」だといいます。

例えば、これまでは活動のために家を空けると、家族に負担をかけてしまうのではないかと気を使いながら活動していました。そのため、休日は活動を控えるべきだと自ら思い込んでいたそうです。本当はもっと活動したいという気持ちを抑え、家族中心の生活を続けることに、しんどさを感じていたといいます。

そう思っていた矢先、女性を対象としたリーダーシップ育成プログラムに応募する機会がありました。宿泊を伴うプログラムであったため、参加するには単身赴任中の夫に仕事を休んでもらい、子どもたちの世話をお願いする必要がありました。迷いはあったものの、このような機会はもうないかもしれないと考え、思い切って夫に参加したいと伝えたそうです。

すると、夫の返答は「いいよ」と拍子抜けするほどあっさりとしたものでした。その瞬間、これまで張りつめていた気持ちが一気に緩み、「母親である自分がやらなければ」と一番思い込んでいたのは、実は自分自身だったということに気が付きました。参加した宿泊プログラムでは、他の参加者から刺激を受け、「もっと自分らしくっていいんだ」という気持ちも出てきました。

子ども食堂に挑戦

令和6(2024)年6月からは、8大アレルゲン※不使用の子ども食堂「Aru Nai Cafe」を始めました。

きっかけは、アレルギーがある次女が「私も子ども食堂に行きたい」と言ったことでした。そこで、子ども食堂について調べてみると、アレルギーに関する記載がなかったり、「アレルギーの人はご遠慮ください」と明記されているなど、必ずしもアレルギーに配慮した対応とはいえない状況でした。

「子ども食堂は孤食の防止や貧困家庭の支援に加え、多世代交流や地域コミュニティの役割も担っている。それなのに、アレルギーがあれば食べることができないのはおかしいのではないか・・・」
もやもやとした思いを抱き、それならば、自分で取り組むしかないと考えました。

そこで、周囲にその思いを伝えたところ、場所を貸してくださる方とつながることができました。ちょうどカフェを営んでいた方が業態を変えて、シェアカフェにしようと考えていたタイミングだったそうです。現在は、月に1回、アレルギーに配慮した子ども食堂を開催しています。

おおはしさんは、対面でもSNSでも、こまめに活動の報告を行っています。現状や困りごと、失敗さえも隠さず発信することで、共感して耳を傾けたり、読んだりしてくれる人が増えたそうです。

災害時のアレルギー対応を変えたい

あるとき、おおはしさんは能登半島地震で、アレルギーがある子どもが数週間にわたり、非常食のアルファ米しか食べられなかったという話を耳にしました。そこで実態を知ろうと、熊本地震や能登半島地震の被災地を訪ねました。

実際に避難所運営に関わった方から話を聞くと、被災者のニーズを十分に把握することは難しく、また炊き出しで提供する食事には原材料の表示が必要であることも十分に認識されていない状況でした。
そこでおおはしさんは助成金を活用して、原材料表示に関するリーフレットを作成し、全国の子ども食堂や防災関連団体に配布しました。さらに、アレルギー対応のノウハウを持つ人材を増やし、子ども食堂や災害時に役立ててもらうことを目的にワークショップも開催しました。

おおはしさんの活動の原動力は、自分の子どもが大人になったときに「大丈夫」と安心して送り出せる社会になってほしいという思いです。待っていても状況が変わらないのであれば、自ら社会を変えていくしかありません。「待っていられない性分なんです」と、おおはしさんは笑います。

6年前、おおはしさんの将来的な目標は、「アレルギーがあってもなくても、家族でゆっくりできて安心して過ごせる飲食店を作ること」でした。その夢は現在、子ども食堂というかたちで実現し、そのノウハウや事例を他地域でも参考にしてもらえるよう発信を続けています。

これから取り組んでみたいと思っていることは、アレルギー対応について海外へ調査研究に行くことです。日本ではアレルギー対応がまだ十分とはいえない現状を踏まえ、海外の事例を学ぶことで、より良い仕組みづくりにつなげたいと考えています。出会った人々から力をもらいながら、おおはしさんの活動は今も広がり続けています。

6年前よりも、さらに関心の幅と行動力が広がったおおはしさん。これからも一つひとつ夢をかなえていくことでしょう。

※アレルゲンとは「アレルギーの原因となる物質」のことで、8大アレルゲンは「卵、小麦、乳、えび、かに、そば、落花生、くるみ」をいいます。

月ノヒカリの活動をインスタグラムでご紹介

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