大人も子どもも「楽しく」学べる居場所を【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒント Vol.54】

ネメシュ 仁美 さん
(生野長屋大学ぽんぽこキャンパス)

 

誰でも学べるコミュニティスペース

ネメシュ仁美さんは、コミュニティスペース「生野長屋大学ぽんぽこキャンパス」を仲間と共に運営しています。キャンパスでは、多世代交流と“共育”をテーマに、大人も子どもも楽しく学ぶことのできるイベントが開催されており、地域の人々の居場所となっています。

今の活動を始める前に、ネメシュさんはルーマニアの大学で3年間日本語を教えていた経験があります。ルーマニアの学生は、貧しい中でも楽しそうに目をキラキラさせて学んでいたのに、日本に帰ってきたとき、電車の中の人々が疲れ切って見えたことにショックを受けたそうです。そのいわば逆カルチャーショックが、学ぶとは何なのかと改めて考えたきっかけでした。

その後は子育て、介護、仕事に追われ、自分のことは二の次になる生活が続きましたが、生野区で楽しそうにお祭りなどの活動を広げる方と出会い、自分も、「誰もが楽しく学べる場所、それぞれが得意なことを活かし合える場所を作りたい」という思いが湧いてきたそうです。生野区で活動を始めたいと知人に相談したところ、「遊びを学びにする場づくり」の企画に誘われます。

企画に賛同したネメシュさんは、仲間と長屋の一角にある空き家を活用してコミュニティスペースを開くこととなりました。運営メンバーだけでなく、地域の大人や子どもたちを巻き込んで空き家のリノベーションをおこない、2019年に「生野長屋大学ぽんぽこキャンパス」がスタートしました。

生野長屋大学ぽんぽこキャンパス運営メンバーと
(中央:ネメシュ仁美さん)

私にもできるかも!を引き出す

「生野長屋大学ぽんぽこキャンパス」では、食×遊び×学びの3つを基本として、体験活動の提供を行っています。大人も子どもも楽しめるように、料理やボードゲーム、音楽、運動、落語会やお芝居など、幅広いジャンルのイベントが企画・開催されています。また、キャンパスを利用している子どもが自分たちでメニューを考えてカフェを開いたり、恐竜を好きな子が講師を担当して教室を開くなど、子どもの自主性もはぐくまれる場所となっています。これらの体験活動を通じて、世代や文化を超えた交流が生まれ、一人ひとりの価値観を広げるきっかけの提供にもつながっています。

このキャンパスでネメシュさんが大切にしているのはひらめきです。楽しそう!やりたい!と思ったことはどんどんチャレンジしてみるそうです。また、「子どものために」ではなく、「大人がどれだけ楽しめるか」を第一に企画するように心がけているとのこと。大人が本気で楽しんでいれば子どもも自然と集まり、多世代の集う場になると考えています。

様々なイベントのあるこの場所で、利用者の中には「私にもできるかも!」「私もやりたい!」とイベント企画を持ち込む人も多くいるそうです。利用者のチャレンジの気持ちを引き出すだけではなく、活躍の場を提供できるのもこのキャンパスの強みです。

得意を活かし合える社会へ

ネメシュさんがめざすのは、多様な人たちが得意なことを活かしあえる社会です。「お母さんだから」「お父さんだから」など、つい役割に縛られがちになりますが、このキャンパスは、ゆるやかにつながり、みんながそれぞれの得意を尊重し、助け合える大切な居場所となっています。

楽しさを大切にした教育を次世代へとつなぎ、子どもも大人も学べる居場所が全国に広まることを願い、そして、いずれは生野区だけでなく、全国にキャンパスを作って、人、モノ、情報、そして得意を循環できる場を広げていきたいという夢を話してくださいました。

誰よりも楽しみながらチャレンジを続け、ひらめきをカタチにする仲間たちと活動を広げるネメシュさん。これからも、人々の「私にもできるかも!」を引き出していくことでしょう。

生野長屋大学 ぽんぽこキャンパスWEBサイト

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