防災でつくる地域のつながり【チャレンジの先輩に聞く! 活動を始めるヒントVol.40】

阿倍野区で「あべの親子防災部」として活動している益田さん

益田紗希子さん
(特定非営利活動法人ミラクルウィッシュ代表)

防災活動の原点は「子どもの命を守りたい」

阿倍野区で「あべの親子防災部」として活動している益田さん。「あべの親子防災ノート」や親子参加型の「防災おさんぽ」など、地域に根差した防災活動をしておられます。

益田さんがこのような活動を始めたきっかけは、東日本大震災でした。
当時、和歌山に住んでいた益田さんの初めての妊娠がわかったその日、東日本大震災が起こったのです。転勤族であるため、地域に頼れる人もいないなか、「自分は生まれてくる子を守れるだろうか」という不安を抱えながらの妊娠・出産・育児でした。

翌年、夫の転勤で移った三田市で、地域の親子向け交流スペースを利用していたママ友たちとグループを作り、ミラクルウィッシュと名付けました。これからどんな活動をしていきたいかを考えたときに「子どもを守れる親になりたい」という思いがよみがえったのです。

乳幼児を抱えた親世代が災害時に自分の命と我が子の命を守ることができるよう、仲間たちとともに防災意識や知識を楽しく学べる講座やイベントを企画しました。

それぞれの地域での防災活動をつなげたい

その後、再び夫の転勤で阿倍野区へ。クレオ大阪中央のセミナーに参加したときに、同じ地域で活動している女性との出会いもあり、背中を押されて阿倍野区でも新たに防災やママ同士が学びあえる場づくりを始めました。

災害をわが事にしてほしいという願いから、地域の災害想定に応じた内容を盛り込み、地元の人と一緒に「気づき」を大切にしながら親子向け防災知識をまとめた「防災ノート」を製作しました。

活動を続けていると、社会的に「いいこと」をしているものの、決まった正解はないことに悩んだり、しんどさを感じたりすることもあります。そんな女性たちが「防災」というキーワードで交流や情報交換をすることで、細く長くゆるやかにつながり合えるコミュニティをつくるための交流会も実施しています。

コロナ禍をきっかけに始めたポリ袋クッキング

コロナ禍に見舞われ、思うように活動できないなかで取り組んだのが災害時にも役立つポリ袋クッキングでした。

ポリ袋を使ったレシピを、はじめは1ヵ月だけSNSに投稿しようと思っていたそうですが、友人に「1ヵ月ではすぐ真似されちゃうから、どうせなら100日やったら?」と提案されます。なるほどと、やり続けた結果、結局1年で300日公開しました。

レシピに対するSNSのやり取りも生まれ、コミュニケーションも広がったそうです。最終的には、ポリ袋クッキングのレシピや食の備蓄の知識をまとめた冊子も製作しました。

地域に居場所をつくりたい

今後の目標は、ママたちがほっと一息つける場所を作ること。困っている人もそうでない人も、宿泊もできて、ゆっくり落ち着いてリフレッシュできる場所をイメージしています。その場所で地域の人と一緒にイベントなども実施することで、つながりをつくることが地域防災につながっていくと考えています。

益田さんはそんな思いを言葉にするようにしているそうです。自分たちがあったらいいなと思うことを共感してくれる仲間がいたことで、これまでにたくさん実現できたといいます。

やりたいことや思いを具体的に言葉にして伝え、まずは行動してみること。失敗することもあるかもしれませんが、後々に失敗が美談になることもある、と笑います。

まずは、本を読んでみたり、イベントやセミナーに出かけて話を聞くなどしてみるのも何かのきっかけになるかもしれません。益田さんはこれからも「人とのつながり」のなかで、一つ一つ思いをかたちにしていくことでしょう。

特定非営利活動法人ミラクルウィッシュ代表
https://www.mwish2014.link/mwish/

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