横山由紀子さん(コミュニケーション・サポーター、会話の泉 事務局長)
“敏感すぎる”娘の子育てがきっかけ
「コミュニケーション・サポーター」として全国の自治体、学校、企業から講演オファーが絶えない人気講師の横山さん。
人と人がいるところ、家庭にも社会にも人間関係があり、コミュニケーションは欠かせません。
横山さんが起業を志すことになったきっかけは娘さんの子育てでした。
当時の横山さんは子育てにつまずき、悩み、もがく一人の母親でした。
娘さんは「Highly Sensitive Child(超敏感な子ども)」と呼ばれる非常に敏感な感性の持ち主。
ささいなことにも動揺したり、心を閉ざしてしまいがちな我が子を前に、横山さんは疲れきっていました。
なんとかしてこの状況から抜け出せないかとコミュニケーションや心理学を猛然と学び、親である自分が変わることの大切さに気付きます。
そんな中、コミュニケーションのボランティア講師を引き受けたことから横山さんの人生が大きく動き始めました。
「プロ講師」という道を知る
高校生を対象にボランティア講師として活動を始めた頃、知人から大人にもコミュニケーションのコツを話して欲しいと頼まれて引き受けたお話会で、思いがけず講師謝礼をいただくことに。
自分の経験談が多くの方に評価してもらって嬉しい反面、プロ意識を持たねばと身が引き締まったそうです。
ちょうどその頃、クレオ大阪のセミナー「プロ講師になろう塾」の第1期受講生募集を知り、迷わず受講。
チャレンジ応援拠点のコーディネーターでもあるリー・ヤマネ・清実さんがメイン講師の10日間にわたる連続講座を、1回も休むことなく参加し、プロ講師としてのイロハを徹底的に身につけていきます。
起業をめざす方なら「私はこうしたい!」という思いがある。
けれど、ふっと力を抜いて周りの方からのアドバイスに耳を傾けてみると必ず新しい発見がある。
チャレンジ応援拠点での専門スタッフやコーディネーターとの対話は、そんな風にも活用できるのではとおっしゃっていただきました。
コミュニケーションのプロである横山さんも、周りの方たちとの関係性があってこそ信頼できる「メンター(仕事や人生の指導者、助言者)」と出会いがあり、今の仕事にもつながっているそうです。
仕事に感謝、けれど「軸」は家族
横山さんがプロ講師として起業されてから10年。
全国を飛び回る人気講師ですが、「営業は苦手」なのだそう。
自治体や学校での講演実績をこまめにホームページに掲載することで、それを見た方から講演依頼が舞い込んだり、講演でお世話になった方が紹介してくださったりということがほとんどだそうです。
まさに、周囲の人との良好な関係づくりのなせる技なのかもしれません。
そんな多忙な横山さんの「軸」は家族。
パートナーの夫や娘あっての自分だからと、家族との時間も大事にされています。
家族を軸に仕事とプライベートのバランスを取る方法が自分らしいという横山さん。
かつて子育てで悩んでいた頃は肩に力が入りすぎて苦しかった。
そんな横山さんの座右の銘は「いいかげんは、“良い加減”」。
相手の話にきちんと耳を傾けると、自分の気持ちもうまく伝わる。
身近な人との関係の中から培ってこられた「コミュニケーションの極意」が、横山さんの今の仕事にも活かされているようです。
会話の泉